米環境団体がスペースXのロケット打ち上げ認可取り消し求め訴訟「国立野生動物保護区の環境が悪化」
複数の環境団体が5月1日、実業家イーロン・マスク氏が率いる宇宙開発企業スペースXのロケット打ち上げ事業は近隣の国立野生動物保護区に悪影響を及ぼすとして、米連邦航空局(FAA)に事業認可取り消しを求める訴訟を起こした。写真は反対派の抗議活動のようす Democracy Now! / YouTube
実業家イーロン・マスク氏が率いる宇宙開発企業スペースXのロケット打ち上げ事業は近隣の国立野生動物保護区に悪影響を及ぼすので、米連邦航空局(FAA)は事業認可を取り消せ――。複数の環境団体が1日、こうした訴訟を起こした。
テキサス州南部のスペースXの打ち上げ施設近くには、「ローワー・リオグランデ・バレー国立野生動物保護区」がある。
4月20日に同社が行った大型宇宙船「スターシップ」とロケット「スーパーヘビー」の打ち上げは、複数のエンジンが停止して機体姿勢が保てなくなったため、結局爆破して試験飛行を終了。この時に強化コンクリートや金属の破片が広範囲に散らばり、干潟などに降り注いだ。
訴状は、以前にも何度もロケットの爆発があり、保護動物や渡り鳥の生息地が破壊されているほか、打ち上げ施設の騒音や光、建設作業、道路渋滞なども保護区の環境を悪化させたと主張。大規模な事業の際には通常不可欠な環境影響評価報告書(EIS)なしにFAAが打ち上げを認めたのは違法で、認可の撤回とEIS策定を求めている。
マスク氏は4月29日のイベントで、今回のロケット打ち上げ後の爆発について「人工的な砂嵐」に過ぎず、環境への影響はないとの認識を示した。
FAA広報担当者は、進行中の訴訟に関するコメントはしないと述べた。