最新記事
アメリカ政治

「トランプがプーチンにすり寄るのはとうてい支持できない」 共和党支持のウクライナ系米国人、大統領選で苦渋の選択へ

2023年5月24日(水)12時45分
ロイター

近日中に大統領選への出馬を表明するとみられるデサンティス氏は、バイデン政権がウクライナ政府支援のために「白紙小切手」を切っていると過去に批判。「ウクライナとロシアの領土紛争にこれ以上巻き込まれる」ことは米国にとって重要な国益ではないと述べている。

ウクライナ侵攻についてトランプ、デサンティス両氏にコメントを求めたが回答はなく、共和党全国委員会も回答しなかった。

ウクライナ政府への支援を公約している共和党大統領候補としては、ニッキー・ヘイリー前国連大使などがいるが、世論調査では支持率が伸び悩んでいる。

決定打となりうる層

ペンシルベニア州では、約9万2000人が自らをウクライナ系米国人であるとしている。ロイターの分析によれば、2016年にトランプ氏が同州で勝利を収めたときの得票差4万4000票の2倍以上、また2020年にバイデン氏が勝利したときの得票差8万1000票も上回っている。ミシガン州には約3万1000人のウクライナ系住民がいるが、これも2016年にトランプ氏が勝利したときの得票差約1万1000票より多い。

ウクライナ系住民コミュニティーの規模が、中間選挙で勝敗を分けた得票差を上回ることが確認された選挙区は、ニューヨーク、ペンシルベニア、ミシガン、ワシントン、コネティカット、カリフォルニア、コロラド州にある。これら13選挙区での共和・民主両党の勝敗はほぼ互角だった。

国勢調査局は毎年実施する全国規模の調査に基づいて、ウクライナ系米国人の人口を推測している。このデータからは、ほとんどの州及び選挙区において、ウクライナ系だとする住民についての年齢情報が得られないものの、同局では、ウクライナ系米国人全体の約5分の4が選挙権を有する年齢だとしている。

ストーニチジさんが暮らすペンシルベニア州東部の炭鉱地帯では、共和・民主両党がつばぜり合いの激戦を展開してきた。ウクライナ系の人口が10%を超える街もある。

民主党のスーザン・ワイルド下院議員は2022年、ストーニチジさんの選挙区を500票に満たない得票差で制しており、ウクライナ系住民の票を獲得することは非常に重要だと話している。

ワイルド下院議員は定期的に地元のウクライナ系住民コミュニティーと連絡を取っており、昨年の選挙では、同議員の陣営に献金し、電話ボランティアに参加した住民もいた。

「私が経験したように僅差で勝ち抜いた選挙戦を考えると、有権者のごく一部であっても大きな違いが生まれる」

「ペンシルベニアでは確実にそこで差がつくだろう」

キャリア
企業も働き手も幸せに...「期待以上のマッチング」を実現し続ける転職エージェントがしていること
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、米軍制服組トップ解任 指導部の大規模刷

ワールド

アングル:性的少数者がおびえるドイツ議会選、極右台

ワールド

アングル:高評価なのに「仕事できない」と解雇、米D

ビジネス

米国株式市場=3指数大幅下落、さえない経済指標で売
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ウクライナが停戦する日
特集:ウクライナが停戦する日
2025年2月25日号(2/18発売)

ゼレンスキーとプーチンがトランプの圧力で妥協? 20万人以上が死んだ戦争が終わる条件は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 3
    メーガン妃が「アイデンティティ危機」に直面...「必死すぎる」「迷走中」
  • 4
    1888年の未解決事件、ついに終焉か? 「切り裂きジャ…
  • 5
    深夜の防犯カメラ写真に「幽霊の姿が!」と話題に...…
  • 6
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 7
    ソ連時代の「勝利の旗」掲げるロシア軍車両を次々爆…
  • 8
    私に「家」をくれたのは、この茶トラ猫でした
  • 9
    トランプが「マスクに主役を奪われて怒っている」...…
  • 10
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 3
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 4
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 5
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 6
    朝1杯の「バターコーヒー」が老化を遅らせる...細胞…
  • 7
    7年後に迫る「小惑星の衝突を防げ」、中国が「地球防…
  • 8
    ビタミンB1で疲労回復!疲れに効く3つの野菜&腸活に…
  • 9
    「トランプ相互関税」の範囲が広すぎて滅茶苦茶...VA…
  • 10
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 4
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」…
  • 5
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 6
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 7
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 8
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 9
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果…
  • 10
    「DeepSeekショック」の株価大暴落が回避された理由
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中