最新記事
ウクライナ情勢

ウクライナが手に入れた英「ストームシャドウ」ミサイルの実力は?

Ukraine's New 'Storm Shadow' Missile's Range, Power Compared to HIMARS

2023年5月15日(月)17時25分
エリー・クック

ストームシャドウがJDAMやHIMARSなどの兵器と一緒に使われるとしたら、それは「ウクライナ人が反撃可能になる範囲について、ロシアがもっと警戒しなければならない」ことを意味すると、英ロンドン大学キングスカレッジフリーマン航空宇宙研究所の共同ディレクター、デービッド・ジョーダンは11日に本誌に語った。

ストームシャドウの射程距離について、製造元のMBDAミサイル・システムズは約250キロメートル以上と発表しているが、ジョーダンによると、射程距離については議論があるという。

昨年からウクライナへの供与が開始されたアメリカのHIMARSの射程距離は約80キロメートルで、ウクライナ当局から称賛された。昨年6月、ウクライナのオレクシー・レズニコフ国防相は「強力な兵器だ」と大歓迎だった。

長距離誘導型ミサイルではアメリカのATACMSが有名だが、製造元のロッキード・マーティンによれば、最長で300キロメートルに達し、ストームシャドウ・ミサイルよりもう少し射程が長い。だがこれまでアメリカがウクライナに提供してきたミサイルにはそこまで射程の長いものはない。またステルス性能も備えている。

米シンクタンク、ケイトー研究所の政策アナリスト、ジョーダン・コーエンは以前、ストームシャドウ・ミサイルが「与える打撃は間違いなく大きい。ATACMSとほとんど変わらない」と本誌に語った。別掲の動画によれば、ストームシャドウは二重弾頭を備え、貫通力に優れている。最初の一撃で穴を開け、二発目で中を貫き爆発する。

軍事専門家によれば、ストームシャドウ・ミサイルはウクライナにとって、敵の司令部や弾薬庫、補給線などを標的とした攻撃に特に役立つという。

軍事専門家のデビッド・ハンブリングは以前、「ウクライナ軍の司令官はどこに新しいミサイルで攻撃すれば最大の効果が得られるかを判断する優れた情報を把握している可能性が高い」と本誌に語った。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

ドバイ国際空港、2024年の利用者は過去最多の92

ワールド

民間機近くの軍用ヘリ飛行を疑問視、米上院議員 空中

ワールド

ロシアの穀物輸出、EUの船舶制裁が圧迫 中銀が報告

ビジネス

大阪製鉄が自社株TOBを実施、親会社の日本製鉄が応
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプ革命
特集:トランプ革命
2025年2月 4日号(1/28発売)

大統領令で前政権の政策を次々覆すトランプの「常識の革命」で世界はこう変わる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    「DeepSeekショック」の株価大暴落が回避された理由
  • 4
    今も続いている中国「一帯一路2.0」に、途上国が失望…
  • 5
    東京23区内でも所得格差と学力格差の相関関係は明らか
  • 6
    ピークアウトする中国経済...「借金取り」に転じた「…
  • 7
    「やっぱりかわいい」10年ぶり復帰のキャメロン・デ…
  • 8
    DeepSeekショックでNVIDIA転落...GPU市場の行方は? …
  • 9
    空港で「もう一人の自分」が目の前を歩いている? …
  • 10
    フジテレビ局員の「公益通報」だったのか...スポーツ…
  • 1
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 2
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 3
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果が異なる【最新研究】
  • 4
    「DeepSeekショック」の株価大暴落が回避された理由
  • 5
    緑茶が「脳の健康」を守る可能性【最新研究】
  • 6
    DeepSeekショックでNVIDIA転落...GPU市場の行方は? …
  • 7
    血まみれで倒れ伏す北朝鮮兵...「9時間に及ぶ激闘」…
  • 8
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のア…
  • 9
    今も続いている中国「一帯一路2.0」に、途上国が失望…
  • 10
    煩雑で高額で遅延だらけのイギリス列車に見切り...鉄…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のアドバイス【最新研究・続報】
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀…
  • 5
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 6
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 7
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 8
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
  • 9
    中国でインフルエンザ様の未知のウイルス「HMPV」流…
  • 10
    失礼すぎる!「1人ディズニー」を楽しむ男性に、女性…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中