最新記事
ウクライナ情勢

ワグネル創設者「ロシア軍機4機を撃墜したのはロシア軍」?

Wagner Founder Thinks Russia Shot Down Its Own Aircraft

2023年5月15日(月)14時23分
アンドリュー・スタントン

反体制的な発言も増えているプリゴジン Press service of "Concord"/REUTERS

<ロシアの戦闘機2機と輸送ヘリ2機がウクライナ国境近くで墜落。ウクライナ軍の反攻かと思いきや、ワグネル創設者のプリゴジンは同胞の仕業だと示唆した>

ウクライナ国境近くのロシア領内でロシア軍機が相次いで「墜落」したのは自軍に撃墜されたのではないか──ロシアの民間軍事会社ワグネルの創設者、エフゲニー・プリゴジンがそんな可能性を示唆している。

ロシアの国営メディアは5月13日、ウクライナとの国境に近いロシアのブリャンスク州でロシア軍機4機が撃墜されたと伝えた。またロシア紙コメルサントは、撃墜されたのはスホーイSu34戦闘機とスホーイSu35戦闘機がそれぞれ1機、Mi8輸送ヘリコプター2機だったと伝えている。ウクライナは関与を否定している。

プリゴジンはもともとロシアのウラジーミル・プーチン大統領の側近だったが、ウクライナ侵攻が思うように進まない中で両者の緊張は高まっている。そして13日、プリゴジンはロシア軍機を撃墜したのはロシア軍だと匂わせる発言をした。

プリゴジンはメッセージアプリのテレグラムの自身のチャンネルへの投稿で、4機の撃墜地点から描いた半径20キロの円の中心にありそうなのは、ロシアとウクライナどちらの防空システムだろうか、と問いかけた。

ロシア側は「エンジントラブル」説も

「4機の墜落地点を囲む円を描くと、円の直径は40キロメートルになる。つまり円の半径は20キロメートルだ」とプリゴジンは書いた。「次にインターネットで、どんな種類の対空兵器がこの円の中心にあるかを調べてみるといい。自ずと答えは出る。私は知らないが」

本誌はロシア国防省に電子メールでコメントを求めたが回答は得られていない。

ウクライナ空軍の報道官は14日にテレビ出演し、撃墜したのはロシアの防空システムかも知れないと述べた。

コメルサントは撃墜された戦闘機2機は「ウクライナのチェルニヒウ州の標的に向けてミサイル攻撃と空爆を行う予定だったとみられる」と伝えている。また、2機は「ほぼ同時に」墜落したという。ただしロシア当局は沈黙したままだ。

ブリャンスク州のアレクサンドル・ボゴマズ知事はテレグラムで、ヘリコプター1機がクリンツィの町に墜落し、女性1人がけがをしたと明らかにした。ロシア国営タス通信は、墜落の原因はエンジントラブルだったとの当局の見方を伝えている。

社会的価値創造
「子どもの体験格差」解消を目指して──SMBCグループが推進する、従来の金融ビジネスに留まらない取り組み「シャカカチ」とは?
あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

輸出規制厳格化でも世界の技術協力続く=エヌビディア

ビジネス

ラトニック氏の金融会社がテザーと協議、新たな融資事

ビジネス

米、対中半導体規制強化へ 最大200社制限リストに

ワールド

ヒズボラ、テルアビブ近郊にロケット弾 ベイルート大
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 2
    「ダイエット成功」3つの戦略...「食事内容」ではなく「タイミング」である可能性【最新研究】
  • 3
    「このまま全員死ぬんだ...」巨大な部品が外されたまま飛行機が離陸体勢に...窓から女性が撮影した映像にネット震撼
  • 4
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 5
    寿命が5年延びる「運動量」に研究者が言及...40歳か…
  • 6
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 7
    北朝鮮は、ロシアに派遣した兵士の「生還を望んでい…
  • 8
    クルスク州のロシア軍司令部をウクライナがミサイル…
  • 9
    元幼稚園教諭の女性兵士がロシアの巡航ミサイル「Kh-…
  • 10
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」…
  • 1
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 2
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 3
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 4
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 5
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 6
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 7
    北朝鮮は、ロシアに派遣した兵士の「生還を望んでい…
  • 8
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱…
  • 9
    「このまま全員死ぬんだ...」巨大な部品が外されたま…
  • 10
    2人きりの部屋で「あそこに怖い男の子がいる」と訴え…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 4
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋…
  • 5
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大き…
  • 6
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 7
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 8
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 9
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 10
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中