最新記事
英王室

チャールズ英国王の戴冠式、もう1人戴冠されるのは? 式典の意義とその内容まとめ

2023年5月5日(金)19時56分
ロイター
チャールズ英国王

チャールズ英国王(写真)が、母エリザベス女王の死去を受けて連合王国と英連邦14カ国の君主となったのは昨年9月のことだった。だが、華麗で壮大、かつ厳かな宗教的意義を帯びた戴冠式は、5月6日に行われる。写真は4月、英サンドハーストで撮影(2023年 ロイター/Peter Nicholls)

チャールズ英国王が、母エリザベス女王の死去を受けて連合王国と英連邦14カ国の君主となったのは昨年9月のことだった。だが、華麗で壮大、かつ厳かな宗教的意義を帯びた戴冠式は、5月6日に行われる。

なぜ改めて戴冠式を行うのか。式典にはどういう意味があるのか。

戴冠式の歴史

この1000年間の大半を通じて、イングランド及び英国の国王と女王は、ロンドンのウェストミンスター寺院で戴冠式を行ってきた。式典の内容は数世紀にわたってほとんど変わっていない。

同寺院で戴冠式を行った君主はこれまで38人。15世紀にロンドン塔で殺害されたとされる2人の若い王子の1人であるエドワード5世と、離婚歴のある米国出身女性ウォリス・シンプソンと結婚するために退位したエドワード8世は例外だ。

独自性

戴冠式は必須のものではなく、世界の王室で同じような儀式を行う国は他に存在しない。

王室史研究者のアリス・ハント氏は、「チャールズ3世がこれから行うような形の戴冠式は、英国独自のもので、存続していること自体が類を見ない」と話している。

式典を主宰するのはイングランドの筆頭貴族である軍務伯(式部長官)。儀式典礼を担当し、数世紀にわたって主にノーフォーク公爵ハワード家に世襲されている地位である。

現在、軍務伯を務めるのは当代のノーフォーク公爵エドワード・フィッツアラン=ハワード氏。同氏はエリザベス女王の葬儀も主宰した。

戴冠式を行う理由

本来、戴冠式は君主となるための必須条件だったが、現在は儀式としての位置付けになる。

「我が国では、戴冠式は公的な方法で君主を正統なものとする儀式として依然残っている」とハント氏は語る。

「また、戴冠式の核心部分には『変容』という宗教的な契機が残っている。先代が逝去した時点で現君主が君主であることには変わりはないが、戴冠式で使われる文言が14世紀に確立された時以来、そこには、王または女王が式典を通じて何らかの変容を遂げるという表現がある」


試写会
米アカデミー賞候補作『教皇選挙』一般試写会 30組60名様ご招待
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、米軍制服組トップ解任 指導部の大規模刷

ワールド

アングル:性的少数者がおびえるドイツ議会選、極右台

ワールド

アングル:高評価なのに「仕事できない」と解雇、米D

ビジネス

米国株式市場=3指数大幅下落、さえない経済指標で売
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ウクライナが停戦する日
特集:ウクライナが停戦する日
2025年2月25日号(2/18発売)

ゼレンスキーとプーチンがトランプの圧力で妥協? 20万人以上が死んだ戦争が終わる条件は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 3
    メーガン妃が「アイデンティティ危機」に直面...「必死すぎる」「迷走中」
  • 4
    1888年の未解決事件、ついに終焉か? 「切り裂きジャ…
  • 5
    深夜の防犯カメラ写真に「幽霊の姿が!」と話題に...…
  • 6
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 7
    ソ連時代の「勝利の旗」掲げるロシア軍車両を次々爆…
  • 8
    私に「家」をくれたのは、この茶トラ猫でした
  • 9
    トランプが「マスクに主役を奪われて怒っている」...…
  • 10
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 3
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 4
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 5
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 6
    朝1杯の「バターコーヒー」が老化を遅らせる...細胞…
  • 7
    7年後に迫る「小惑星の衝突を防げ」、中国が「地球防…
  • 8
    ビタミンB1で疲労回復!疲れに効く3つの野菜&腸活に…
  • 9
    「トランプ相互関税」の範囲が広すぎて滅茶苦茶...VA…
  • 10
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 4
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」…
  • 5
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 6
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 7
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 8
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 9
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果…
  • 10
    「DeepSeekショック」の株価大暴落が回避された理由
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中