最新記事
韓国社会

犬はOKでも60歳以上はお断り 韓国「ノー・シニア」掲げるカフェ登場

2023年5月9日(火)20時35分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部
韓国のカフェの入口ドア

ハングルで「ノー・シニア」と書き記したカフェ MBCNEWS / YouTube

<不寛容な社会へなりつつあるのか?>

子供たちのカフェやレストランなどへの入店を禁止する「ノー・キッズ・ゾーン」を掲げる店舗が増えているという韓国。市民からの苦情を受けて済州島では「ノー・キッズ・ゾーン」を禁止する条例を議会で取り上げるなど、大きな社会問題になりつつある。

そんななか、今度は「ノー・シニア・ゾーン」を掲げるカフェが登場してネットで論争が起きている。MBCNEWS、デジタルタイムズなど韓国メディアが報じた。

8日、あるインターネット掲示板に「ノー・シニア」というタイトルと共に投稿された一枚の写真がネットユーザーたちの議論の的となった。

介助犬は歓迎しても、お年寄りはNG

その写真を見るとハングルで「ノー・シニア」と書かれた下に「60歳以上の高齢者の出入り制限」という文章が併記されている。これとは反対にすぐ隣りには「介助犬は歓迎します」というステッカーが貼られている。

写真とともに掲示板に投稿を掲載した人は「参考までにここは閑静な住宅街にあるごく間口の狭いコーヒーショップ」「何かしら事情があるかもしれないが、自分の両親が通るのではないかと思うと怖い」と書いた。

この投稿を見たネットユーザーたちは、老人への嫌悪を助長するとし、カフェの出入り制限の告知が不適切だという意見のコメントを投稿した。彼らは「介助犬は歓迎するという言葉が横にあって、老人は犬よりも劣った存在という意味のようだ」「カフェの店主も60歳を超える日が来るはずだが、中途半端な決定のようだ」「子供嫌悪に続く老人嫌悪だ。韓国は絶えず嫌悪を作る」などの反応を示した。

一方で、カフェの店主を理解できるという意見もあった。彼らは「1人1注文の原則を守らなかった高齢者が多くてそうなんだと思う」「団体で来て他の客に被害を与えるほどうるさく騒ぐ高齢者をたくさん見たことがあるが、そういったお客からの苦情に対する措置かもしれない」「カフェの社長が高齢者に対応できないそれなりの事情があるのではないか」といった書き込みを残した。

社会的に「ノー・キッズ・ゾーン」が受け入れられるなか、さらなる年齢差別が発生したという指摘も出ている。

あるネットユーザーは「ノー・キッズを許容する雰囲気が定着した時からすでに予見されたこと」と皮肉った。このような差別がさらに広がっていくことも警戒しなければならないという声も出ている。あるネットユーザーは「ノー・キッズ、ノー・シニアが結局、ノー・ディスエイブル・ゾーン(障害者立入禁止)、ノー・フォリナーゾーン(外国人立入禁止区域)、こんな風に分化されて、結局は自分自身が属する集団まで影響を及ぼすことになるだろう」とし、「今では理解できないような、黒人立入禁止、ユダヤ人立入禁止のような野蛮なメッセージが、かつては当たり前だったことを忘れてはならない」という意見を明らかにした。

社会的価値創造
「子どもの体験格差」解消を目指して──SMBCグループが推進する、従来の金融ビジネスに留まらない取り組み「シャカカチ」とは?
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、FDA長官に外科医マカリー氏指名 過剰

ワールド

トランプ氏、安保副補佐官に元北朝鮮担当ウォン氏を起

ワールド

トランプ氏、ウクライナ戦争終結へ特使検討、グレネル

ビジネス

米財務長官にベッセント氏、不透明感払拭で国債回復に
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 2
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 3
    北朝鮮は、ロシアに派遣した兵士の「生還を望んでいない」の証言...「不都合な真実」見てしまった軍人の運命
  • 4
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 5
    「このまま全員死ぬんだ...」巨大な部品が外されたま…
  • 6
    ロシア西部「弾薬庫」への攻撃で起きたのは、戦争が…
  • 7
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」…
  • 8
    プーチンはもう2週間行方不明!? クレムリン公式「動…
  • 9
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱…
  • 10
    ウクライナ軍、ロシア領内の兵器庫攻撃に「ATACMSを…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 3
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査を受けたら...衝撃的な結果に「謎が解けた」
  • 4
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 5
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋…
  • 6
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 7
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 8
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 9
    クルスク州の戦場はロシア兵の「肉挽き機」に...ロシ…
  • 10
    沖縄ではマーガリンを「バター」と呼び、味噌汁はも…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 4
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大き…
  • 5
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 6
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 7
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 8
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 9
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
  • 10
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中