心身を病んだ89歳米大物議員の「やる気」に周囲は辟易?
Could Dianne Feinstein Be Expelled From the Senate? Don't Count On It
先週、治療から議会に復帰したファインスタイン CNN/YouTube
<治療のため数カ月休んだ後、議会に復帰した彼女の言葉は同僚議員や有権者を驚愕させた。「私は休んでいませんよ。ずっとここにいました」 病気は重く、公務は無理だと思うのだが>
高齢で心身の健康が懸念されるカリフォルニア州選出のダイアン・ファインスタイン上院議員(民主党)に対して、自ら辞任してほしいという声があがっている。だが上院が介入して議員を任期終了前に解任できる可能性はほぼない、と専門家は指摘する。
89歳になるファインスタインは、帯状疱疹の治療のため2カ月以上公務を休んでいた。この間、上院での投票を何十回も欠席しており、上院司法委員会では、彼女が不在の間、ジョー・バイデン大統領が指名した司法関係人事の承認が進まなかった。本来、司法委員会のメンバーは民主党議員が過半数を占めているが、ファインスタインが欠席すると、投票で民主党が負ける可能性があったからだ。
5月10日、議会に戻ったファインスタインは、車椅子が必要で、顔の片側が部分的に麻痺し、左目はほとんど閉じているように見えた。
身体的な衰えだけではない。2カ月間の休養から復帰した直後、ファインスタインは記者団に「私は休んでいない。私はここにいた。投票もしてきた」と語ったことから、精神の健康も懸念されている。
残りの任期は全うする
ファインスタイン陣営は、辞任を求める声をすべて退けている。彼女はすでに2024年の選挙で再選をめざさないことを明らかにしているが、25年1月までの残りの任期は全うする意向を示している。
上院はファインスタインを退任させる手段を講じることはできる。だがファインスタインが考えを変えて自発的に引退しない限り、来年まで上院議員を続ける可能性は高い。
カリフォルニア大学法学部のリチャード・L・ヘイセン教授は、民主党が51対49の僅差で過半数を占める現在の上院が、民主党議員の一人を除名しようとすることは極めて考えにくい、特にファインスタインのように尊敬されているベテラン議員の場合、そのような措置を取ることはあり得ないと述べている。
「憲法は、上院議員に対する措置を上院議会に委ねているが、上院がファインスタイン議員の解任を試みる可能性はかなり低いようだ」と、ヘイセンは本誌に語った。
「上院は非常に仲間意識の強いところなので、自分たちの仲間を規制することには熱心ではない。友人たちが説得して退任を促すほうが、問題が解決する可能性がはるかに高い」