【独占】反転攻勢への過剰な期待はウクライナに不幸を招く──駐英大使
Russia Has Achieved Key Goals in Ukraine, Says Diplomat
西側の支援国のなかには、アメリカやドイツのように、新しい兵器システムの供与について何カ月も公に議論し、時には軍事支援を互いに押し付け合ったりする。一方、フランスやイタリアのように、騒ぎにならない形で武器を提供する国もある。前者のアプローチは政治的には重要だが、ウクライナの手の内を明かしてしまうことにもなる、とプリスタイコは言う。
「それはロシア軍に、いちいちこちらの軍備に備える余地を与えてしまうことだ」と彼は言う。「現在、ウクライナ軍には14両ぼ戦車が提供されていて、それはありがたいが、空からの攻撃手段は何もない。ロシア側もそれを知っている。だから空の防衛に資源を浪費することなく、よそで可能な限り戦力の強化や配備に投入できる」
「私たちは自分たちの動きをことごとく公表しがちだ。ドイツ軍は河川横断のための機材や重機などをたくさん提供してくれている。それはありがたい。だがロシアは今、ウクライナが橋を何本架けられるかまで知っている」
<中略>
「ある意味、もしこれらの領土をしばし失ったとしても、我々は最も大切なものを守り切った。ウクライナであり続けること、西欧的な民主主義であることだ。もちろん完璧ではないが、それはどこも一緒だ」
「ロシアはウクライナを完全に踏み潰そうとしたが、それはさせなかった。今の話題はバフムトを取った、取られたということだ。ウクライナ人に聞いてみるといい、誰もバフムトなど聞いたことがないだろう。人口4000万人のウクライナの中の、人口3万人の小さな町だ。ロシアはその小さな町を6カ月も攻め続けている。人々が死んでいる。悲劇だ。だが重要なのはそこではない」
「重要なのは、(今まで信じられないような戦績を残してきたウクライナ軍が)たとえ反転攻勢で目標を達せられなくても、理解して欲しい。我々はこの戦いを生き残っただけでなく、ロシアと交渉できる立場を守ったのだ。なぜ西側の人々がその素晴らしさに目を向けないのか理解できない」