最新記事
反転攻勢

【独占】反転攻勢への過剰な期待はウクライナに不幸を招く──駐英大使

Russia Has Achieved Key Goals in Ukraine, Says Diplomat

2023年4月20日(木)14時20分
デービッド・ブレナン

西側の支援国のなかには、アメリカやドイツのように、新しい兵器システムの供与について何カ月も公に議論し、時には軍事支援を互いに押し付け合ったりする。一方、フランスやイタリアのように、騒ぎにならない形で武器を提供する国もある。前者のアプローチは政治的には重要だが、ウクライナの手の内を明かしてしまうことにもなる、とプリスタイコは言う。

「それはロシア軍に、いちいちこちらの軍備に備える余地を与えてしまうことだ」と彼は言う。「現在、ウクライナ軍には14両ぼ戦車が提供されていて、それはありがたいが、空からの攻撃手段は何もない。ロシア側もそれを知っている。だから空の防衛に資源を浪費することなく、よそで可能な限り戦力の強化や配備に投入できる」

「私たちは自分たちの動きをことごとく公表しがちだ。ドイツ軍は河川横断のための機材や重機などをたくさん提供してくれている。それはありがたい。だがロシアは今、ウクライナが橋を何本架けられるかまで知っている」

<中略>

「ある意味、もしこれらの領土をしばし失ったとしても、我々は最も大切なものを守り切った。ウクライナであり続けること、西欧的な民主主義であることだ。もちろん完璧ではないが、それはどこも一緒だ」

「ロシアはウクライナを完全に踏み潰そうとしたが、それはさせなかった。今の話題はバフムトを取った、取られたということだ。ウクライナ人に聞いてみるといい、誰もバフムトなど聞いたことがないだろう。人口4000万人のウクライナの中の、人口3万人の小さな町だ。ロシアはその小さな町を6カ月も攻め続けている。人々が死んでいる。悲劇だ。だが重要なのはそこではない」

「重要なのは、(今まで信じられないような戦績を残してきたウクライナ軍が)たとえ反転攻勢で目標を達せられなくても、理解して欲しい。我々はこの戦いを生き残っただけでなく、ロシアと交渉できる立場を守ったのだ。なぜ西側の人々がその素晴らしさに目を向けないのか理解できない」

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

10月の全国消費者物価、電気補助金などで2カ月連続

ワールド

サハリン2はエネルギー安保上重要、供給確保支障ない

ワールド

シンガポールGDP、第3四半期は前年比5.4%増に

ビジネス

伊藤忠、西松建設の筆頭株主に 株式買い増しで
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対する中国人と日本人の反応が違う
  • 2
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 3
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 4
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱…
  • 5
    【ヨルダン王室】生後3カ月のイマン王女、早くもサッ…
  • 6
    元幼稚園教諭の女性兵士がロシアの巡航ミサイル「Kh-…
  • 7
    NewJeans生みの親ミン・ヒジン、インスタフォローをす…
  • 8
    北朝鮮は、ロシアに派遣した兵士の「生還を望んでい…
  • 9
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 10
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査を受けたら...衝撃的な結果に「謎が解けた」
  • 3
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り捨てる」しかない理由
  • 4
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 5
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 6
    アインシュタイン理論にズレ? 宇宙膨張が示す新たな…
  • 7
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 8
    クルスク州の戦場はロシア兵の「肉挽き機」に...ロシ…
  • 9
    沖縄ではマーガリンを「バター」と呼び、味噌汁はも…
  • 10
    メーガン妃が「輝きを失った瞬間」が話題に...その時…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大きな身体を「丸呑み」する衝撃シーンの撮影に成功
  • 4
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 5
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 6
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 7
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 8
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
  • 9
    モスクワで高層ビルより高い「糞水(ふんすい)」噴…
  • 10
    ロシア陣地で大胆攻撃、集中砲火にも屈せず...M2ブラ…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中