台湾で「くまのシーさん」ワッペンが大ヒット、きっかけは軍の戦闘機乗り
Taiwan Pilot Wears Patch Punching Winnie-the-Pooh During China Drills
台湾のクマが「シーさん」にパンチを喰らわすワッペン(4月10日、桃園市) Carlos Garcia Rawlins-REUTERS
<「シーさん」とは、以前からプーさんにそっくりと風刺されてきた習近平。それにパンチを喰らわす絵柄と台湾軍兵士の心意気が台湾人の愛国心に火を付けた>
くまのプーさんの顔にタイワンツキノワグマが猛烈なパンチをくらわす。そんなワッペンの販売元に注文が殺到している。
中国軍が台湾周辺で演習を行なった際に、台湾軍の戦闘機パイロットが軍服の肩にこのワッペンをつけていたことから人気に火がついた。プーさんは中国の習近平(シー・チンピン)国家主席を風刺するキャラクターなのだ。
中国軍の演習の2日目に当たる4月9日、台北の国防部軍事新聞通信社が空軍兵士の写真を公開。台湾の人たちや海外の台湾ウォッチャーが注目したのは兵士の肩に付いたワッペンだった。写真では、搭乗前に国産戦闘機「経国」の機体をチェックする兵士の肩にパンチを浴びたプーさんがいる(どこの基地で撮影されたかは不明)。
中国ネットでは使用禁止
中国の上海ディズニーランドにもプーさんの森の冒険ライドがあり、プーさんグッズは中国国内でも販売されている。ただしインターネット上ではプーさんの画像や名前の使用は禁止されていて、SNSに投稿すると当局に即座に削除される。一時期、お腹の出たプーさんを習主席になぞえらえた画像が面白半分にネットに出回り、その中に体制批判のメッセージもあったからだ。
台湾を自国の領土とみなす中国は、5日にケビン・マッカーシー米下院議長(共和党)が訪米中の蔡英文(ツァイ・インウェン)台湾総統と歴史的会談を行ったことに怒り、台湾周辺に戦闘機と戦艦を多数派遣し演習を実施した。
ワッペンをデザインしたのは、台北の西に位置する桃園(タオユエン)でミリタリーグッズの店を営むアレック・スー。昨年8月に当時米下院議長を務めていたナンシー・ペロシ(民主党)が訪台したことに怒った中国が大規模な軍事演習を行ったときに作ったという。
タイワンツキノワグマは左手に台湾の旗を持ち、右手でプーさんを殴っている。ワッペンの下側には「緊急発進」を意味するScramble!の文字が踊り、赤いワッペンの上側には「年中無休」のWE ARE OPEN 24/7、青いワッペンには「自由のために戦え」を意味するFIGHT FOR FREEDOMと書かれている。
スーはもう1つ、台湾空軍のパイロットがパンダに平手打ちをくらわせるワッペンもデザインした。これは昨年のアカデミー賞の授賞式で、俳優のウィル・スミスがプレゼンターのクリス・ロックに平手打ちをくらわせた事件に着想を得たものだとか。