接続水域に迫る中国艦船とインターセプトする台湾の船、衛星と無線がとらえた緊迫の睨み合い
Satellite Image Captures China Warship Standoff Around Taiwan
台湾に近い福建省福州市馬祖列島で試射を行う中国空母「山東」(4月8日) Thomas Peter-REUTERS
<台湾をぐるりと囲んで対峙する中台艦船。「平和と安定を望んでいるだけだ」と言う台湾側に対し、「平和と安定を損なうのは台湾独立だ」と中国側。一触即発の緊張が走る>
台湾周辺の海域を4月10日に撮影した衛星画像が、睨み合う中台の十数隻以上の海軍艦艇をとらえた。台湾を取り囲む海域で中国が行った軍事演習最終日の、緊迫の瞬間だ。
ベトナムのホーチミンに拠点を置き、海事問題を調査するジャーナリスト、ドゥアン・ダンが分析したこれらの画像には、台湾島の北西、東、南の沖合の5地点で演習を行う中国海軍の戦艦と、それに対峙する台湾の海軍および沿岸警備当局の船舶が捉えられている。台湾側は、領海内(海岸から12海里=約22.2kmの海域)への侵入を阻止しようと、警戒態勢を強化している。
中国共産党指導部は台湾を中国の一部だと主張しているが、2350万人が暮らす台湾を統治したことはない。
中国政府は4月8日、台湾周辺で3日間の軍事演習を行うと発表した。アメリカのケビン・マッカーシー下院議長が、訪米した台湾の蔡英文総統と会談したことに対する対抗措置だ。
中国は蔡を、「台湾独立」の推進を図る分離主義者と呼んでいる。蔡は、4月11日に台湾住民に向けて行った演説で、中国政府の反応について、「地域の大国として責任ある態度ではない」と軍事演習による威嚇を非難した。
ダンが分析した衛星画像は、欧州宇宙機関(ESA)の地球観測衛星「センチネル-2」によって撮影されたものだ。現地時間午前10時41分の時点で、少なくとも13隻に及ぶ、台湾と中国の艦船が威嚇しあっている様子がとらえられている。南側の海域でも、台湾の船舶5隻が対応している。
オンラインプラットフォームの「サブスタック」でニュースレター「サウスチャイナ・シー・ブリーフ(南シナ海報告)」を執筆しているダンによれば、このせめぎ合いはおおむね、台湾の接続水域内とその周辺で起きていたという。接続水域とは、一般に海岸線から12〜24海里の範囲であり、領海保全など複数の目的で、国家が一定の支配力を行使する海域を指す。