34件もの罪状を抱えた、トランプ訴追劇場の今後の行方は?
Trump Indicted in NY
2023年4月6日(木)15時26分
本当に面倒なのは別の要因だ。まずは被告人が前大統領で、しかもホワイトハウスの「奪還」を目指しているという特殊事情。元ポルノ女優への口止め料(それ自体は犯罪にならない)が、なぜ結果として重罪になるのかを一言で説明するのは難しい。なにしろ複雑で奇怪な事件だ。
共和党がそこに付け込んで、検察側の主張を政治的動機に基づく不当なものと決め付け、国民の理解を混乱させる可能性は十分にある。
実を言うと、本件に比べたら21年1月6日の連邦議会議事堂襲撃や機密文書の持ち出し、ジョージア州での選挙妨害といった疑惑のほうがトランプ絡みの問題としてはずっと単純だ。
今回の起訴は一連の疑惑の捜査に当たる別の検事たちの背中を押し、訴追に踏み切らせるきっかけとなり得る。そうなればブラッグの勇気は歴史に残る。たとえ裁判で勝てなくても。