YouTubeにプーチンの嘘が蔓延...消しても消しても出現...誰の仕業か
RUSSIAN LIES ON YOUTUBE
収益化された最近の動画だと(どうやらロシア占領下のウクライナ東部ルハンスク〔ルガンスク〕州やドネツク州で撮影している様子)、広告主は12年に米コネティカット州の小学校で起きた銃乱射事件の遺族が創設したNPO、難民支援NGO、米保険大手や米携帯電話会社などだ(アイ・アールグレイのプロパガンダ動画は広告付きが多かったが、YouTube上で発見したRTのプロパガンダ動画の大部分は広告が付いていなかった)。
ジョーンズのおかげでロシアのプロパガンダ動画はYouTube上で何万回も再生されている。例えば彼が昨年11月に投稿したRTの「ファシズムへの加速」は、ウクライナがウクライナ東部のロシア系住民を組織的に標的にしているという作り話を繰り返し、1940年代のナチスドイツの映像を現代のウクライナの映像と並べていて、公開以来約5万回再生されている。
この動画についてコメントを求めると、YouTube側はこの動画を含めてニューズガードが特定した匿名チャンネル上の18の動画を削除。だがアイ・アールグレイが依然YouTubeにロシアのプロパガンダを投稿できる理由とそれらの動画が広告収入を生む理由については、コメントはなかった。アイ・アールグレイにも今年2月、ロシア政府のプロパガンダやRTのドキュメンタリーを売り込む理由とRTとの関係についてメールで問い合わせたが、やはり回答はなかった。
アイ・アールグレイと同じ経緯をたどったチャンネルはほかにもあった。例えば「イベント・トゥ・バビ・ニューズ」はフランス語のR&Bミュージックビデオを配信していたが、昨年8月からRTのドキュメンタリーのフランス語版などロシアのプロパガンダを集中的に配信。残虐さで知られるロシアの民間軍事会社ワグネルを追った映像は投稿から2カ月で13万3000回再生された。チャンネル登録者数は4万1500人。20近いアカウントがツイッターでURLをシェアし、登録ユーザー以外にも拡散された。
YouTubeでRTの動画を宣伝していたのはアイ・アールグレイやイベント・トゥ・バビ・ニューズのような目立つチャンネルばかりではない。80を超える匿名チャンネルがウクライナ戦争関連のロシアのプロパガンダを拡散していた。これらのチャンネルは登録者数も動画1本当たりの再生回数も少ないため、日常的にRTのニュース記事を多数投稿していても、YouTubeによるコンテンツモデレーションを回避できるらしい。個々の記事は取るに足りないものでも積もり積もれば大きな影響力を持つ。