YouTubeにプーチンの嘘が蔓延...消しても消しても出現...誰の仕業か
RUSSIAN LIES ON YOUTUBE
ロシアに都合の良い虚偽の主張を広めるために、あえて痛ましい場面を盛り込むのもこうした動画の特徴。例えば「ウクライナ作戦/処罰なき犯罪」というタイトルのRT制作の映像は、昨年3月と4月にウクライナ東部の市街地を襲った2発のミサイル攻撃を取り上げ、生々しい惨状を映し出す。この動画をYouTubeの自身のアカウントに投稿したのは、アメリカの元警官で親ロ派の陰謀論者となったジョン・マーク・ドゥーガンだ。
動画では遺体が横たわる現場を捉えた画像が流され、夫を亡くして嘆き悲しむ女性がインタビューに応じる。ウクライナ軍による攻撃であることを示す証拠として、現場にあったミサイルの破片に刻まれた続き番号がクローズアップされるが、これが何の証拠にもならないことは既に多くの専門家が指摘している。
「ドキュメンタリー」と称する、これらのでっち上げ映像には、ロシア政府が国民を鼓舞するために使うお決まりのプロパガンダを広めるものもある。例えば対ロ経済制裁は西側の「ロシア恐怖症」がもたらした措置で、ロシア経済は痛くもかゆくもないが、西側の経済は壊滅的な打撃を受けている、といったものだ。
ニューズガードの調査では、RT制作の英語版プロパガンダ映像で最も多く再生回数を稼いでいるチャンネルはアイ・アールグレイであることが分かった。このチャンネルの運営者であるジョーンズは彼のツイッターの情報によれば、ロシアのサンクトペテルブルク在住のイギリス人で、もともとはゲーム専門のユーチューバーだった。
ロシアのウクライナ侵攻を受けてプロパガンダ専門に転向。昨年3月のウクライナ東部マウリポリの産科病院への空爆はウクライナの自作自演と主張する動画などを流し始めた。こうした動画はYouTubeのガイドラインに明らかに違反するが、この記事の執筆時点では削除もされず、収益化も停止されていない。
自動化システムで広告が付く
ジョーンズのアカウントに投稿された何十本ものプロパガンダ動画には「プログラマティック広告」と呼ばれるグーグルが開発した自動化システムで多くの広告が付いている。オンライン旅行会社のエクスペディアなどよく知られた企業の広告もあれば、国境なき医師団などのNPOが支援を呼びかける広告もある。ウクライナに人道支援を提供している国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)などの公共広告もある。