最新記事
米中対立

米当局、NYで中国「秘密警察」運営疑いの男2人逮捕 反体制派を弾圧する活動行う?

2023年4月18日(火)11時22分
ロイター
マンハッタン「秘密警察署」のメンバー

米当局は17日、米ニューヨーク市マンハッタンのチャイナタウンで中国の「秘密警察署」を運営していた疑いで、同市在住の男2人を逮捕した。 CBS New York / YouTube

米当局は17日、ニューヨーク市マンハッタンのチャイナタウンで中国の「秘密警察署」を運営していた疑いで、同市在住の男2人を逮捕した。

2人は米当局に知らせることなく中国政府の代わりに活動することを共謀した罪のほか、司法妨害の罪に問われている。17日にブルックリンの連邦裁判所に初出廷した後、保釈された。

スペインの人権団体は昨年、中国がニューヨークなどに在外拠点を設け、中国警察と違法に連携して亡命者に中国への帰国を迫っていたとする報告書をまとめた。

米司法省は、中国やイランなど敵対国が米在住の反体制派を脅迫するため「国境をまたぐ弾圧」を行っているとして調査を拡大している。

ブルックリンのブレオン・ピース連邦検事は「この国に逃れてきた民主化活動家に対する中国政府の迫害を容認することはできない」と記者団に述べた。

検察当局によると、男2人はともに米国籍で、中国の福建省出身者向けの懇親会開催などを手掛ける非営利団体を率いている。2018年には男1人が中国から亡命者とみられる人物を説得し帰国させようとしたほか、22年には秘密警察署の開設を手伝い、中国政府からカリフォルニア州に住む民主化運動活動家とされる個人の居場所を特定するよう依頼されたという。

また2人は米連邦捜査局(FBI)に対し、中国政府関係者との通信記録を削除したことを認めたという。秘密警察署は22年秋に閉鎖されたとしている。

検察当局はこの日、米テクノロジープラットフォームでの集会を妨害するなどインターネット上で反体制派に嫌がらせをした疑いで、中国の当局者34人を訴追したことも明らかにした。

さらに、天安門事件に関するビデオ集会を妨害したとして2020年に中国在住のズーム・ビデオ・コミュニケーションズ元幹部を起訴した事件を巡り、新たに中国政府当局者8人を被告に追加した。

在米中国大使館の劉鵬宇報道官は「『国境をまたぐ弾圧』を口実に中国の市民を起訴することで、米国側は捏造した罪状に基づくロングアーム(管轄外への)司法権を行使している。これは全くの政治的ごまかしであり、中国のイメージを傷つけることが目的だ」と非難した。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2023トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

試写会
『シンシン/SING SING』ニューズウィーク日本版独占試写会 45名様ご招待
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

原油先物は反発、ウクライナ停戦合意なお不透明

ワールド

コロンビア大、親パレスチナデモで建物占拠の学生処分

ワールド

エアプサン火災、補助バッテリーのショートが原因か=

ワールド

アメリカン航空機、デンバー着陸後にエンジンから出火
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:日本人が知らない 世界の考古学ニュース33
特集:日本人が知らない 世界の考古学ニュース33
2025年3月18日号(3/11発売)

3Dマッピング、レーダー探査......新しい技術が人類の深部を見せてくれる時代が来た

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦している市場」とは
  • 2
    「若者は使えない」「社会人はムリ」...アメリカでZ世代の採用を見送る会社が続出する理由
  • 3
    【クイズ】世界で1番「石油」の消費量が多い国はどこ?
  • 4
    【クイズ】ウランよりも安全...次世代原子炉に期待の…
  • 5
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は…
  • 6
    白米のほうが玄米よりも健康的だった...「毒素」と「…
  • 7
    SF映画みたいだけど「大迷惑」...スペースXの宇宙船…
  • 8
    「紀元60年頃の夫婦の暮らし」すらありありと...最新…
  • 9
    113年間、科学者とネコ好きを悩ませた「茶トラ猫の謎…
  • 10
    うなり声をあげ、牙をむいて威嚇する犬...その「相手…
  • 1
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやステータスではなく「負債」?
  • 2
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦している市場」とは
  • 3
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は中国、2位はメキシコ、意外な3位は?
  • 4
    メーガン妃が「菓子袋を詰め替える」衝撃映像が話題…
  • 5
    白米のほうが玄米よりも健康的だった...「毒素」と「…
  • 6
    うなり声をあげ、牙をむいて威嚇する犬...その「相手…
  • 7
    「これがロシア人への復讐だ...」ウクライナ軍がHIMA…
  • 8
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」…
  • 9
    【クイズ】ウランよりも安全...次世代原子炉に期待の…
  • 10
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアで…
  • 1
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」ワケ
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 4
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 5
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 6
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 7
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 8
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は…
  • 9
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン…
  • 10
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中