最新記事
アフリカ

スーダンで戦闘継続、死者330人超に 約2万人が隣国に退避か

2023年4月21日(金)08時47分
ロイター
軍事衝突で黒鉛があがるスーダン首都ハルツーム

アフリカ北東部スーダンの正規軍と民兵組織「即応支援部隊(RSF)」の軍事衝突は20日も継続し、これまでに330人超が死亡したとみられる。スーダンで17日撮影(2023年 ロイター/Stringer)

アフリカ北東部スーダンの正規軍と民兵組織「即応支援部隊(RSF)」の軍事衝突は20日も継続し、これまでに330人超が死亡したとみられる。停戦合意が相次ぎ破られる中、数千人の市民が首都ハルツームを逃れ、西部ダルフールでは隣国チャドに退避する動きも続いている

国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)や国連世界食糧計画(WFP)によると、戦闘を逃れようと約1万─2万人が隣国チャドに越境した。

戦闘が激化する中、ダルフールのエルオベイドでは略奪が広がり、ナイル川の対岸にあるハルツームの姉妹都市オムドゥルマンなどでは、退避するために住民がバスターミナルに集まっているという。

RSFのトップは、中東の衛星テレビ局アルジャジーラに対し、イスラム教のラマダン(断食月)明けの祭り(イード)を機に21日もしくは22日から3日間の停戦を実施する用意があると語った。

一方、正規軍トップはアルジャジーラとのインタビューで、RSFの兵士が多くの道路を閉鎖し、人々の移動を妨げていると非難。「このような状況で真の停戦は実現できない」とし、「軍事的解決以外に選択肢はない」と述べた。

国連のグテレス事務総長は停戦実現に向け、アフリカ連合やアラブ連盟、欧州連合(EU)などと仮想会議を開催。イードに合わせ3日間の停戦を実施し、「戦闘地域に閉じ込められた市民が脱出し、医療や食料などの必要物資を得ることができる」状況にするよう訴えた。

トルコ大統領府によると、エルドアン大統領は正規軍とRSFのトップ双方と個別の電話会談を行い、戦闘を終結し、対話に戻るよう呼びかけた。仲介の可能性を含め、トルコには支援を提供する用意があるとも伝えたという。

また、米国はスーダンからの避難に備え、アフリカ北東部ジブチの基地にかなりの規模の追加部隊を派遣する準備を進めていると、米政府当局者が明らかにした。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2023トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

農業
日本の技術で世界の干ばつ解決へ...ナガセヴィータの研究者に聞く「糖」の意外な活用法
あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

英中銀、金利4.75%に据え置き 3委員は利下げを

ビジネス

ノルウェー中銀金利据え置き、来年3回の利下げ想定 

ワールド

ガザ空爆で13人死亡、停戦合意へ調停続く

ワールド

プーチン大統領阻止へ米欧は結束を、ウクライナ大統領
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:アサド政権崩壊
特集:アサド政権崩壊
2024年12月24日号(12/17発売)

アサドの独裁国家があっけなく瓦解。新体制のシリアを世界は楽観視できるのか

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    村上春樹、「ぼく」の自分探しの旅は終着点に到達した...ここまで来るのに40年以上の歳月を要した
  • 2
    遠距離から超速で標的に到達、ウクライナの新型「ヘルミサイル」ドローンの量産加速
  • 3
    「どんなゲームよりも熾烈」...ロシアの火炎放射器「TOS-1」をウクライナ軍が破壊する劇的瞬間をカメラが捉えた
  • 4
    ウクライナ「ATACMS」攻撃を受けたロシア国内の航空…
  • 5
    「制御不能」な災、黒煙に覆われた空...ロシア石油施…
  • 6
    女性クリエイター「1日に100人と寝る」チャレンジが…
  • 7
    ミサイル落下、大爆発の衝撃シーン...ロシアの自走式…
  • 8
    ロシア軍は戦死した北朝鮮兵の「顔を焼いている」──…
  • 9
    電池交換も充電も不要に? ダイヤモンドが拓く「数千…
  • 10
    アサドは国民から強奪したカネ2億5000万ドルをロシア…
  • 1
    ミサイル落下、大爆発の衝撃シーン...ロシアの自走式多連装ロケットシステム「BM-21グラート」をHIMARSで撃破の瞬間
  • 2
    コーヒーを飲むと腸内細菌が育つ...なにを飲み食いするかで「健康改善できる可能性」の研究
  • 3
    村上春樹、「ぼく」の自分探しの旅は終着点に到達した...ここまで来るのに40年以上の歳月を要した
  • 4
    半年で約486万人の旅人「遊女の数は1000人」にも達し…
  • 5
    「どんなゲームよりも熾烈」...ロシアの火炎放射器「…
  • 6
    女性クリエイター「1日に100人と寝る」チャレンジが…
  • 7
    電池交換も充電も不要に? ダイヤモンドが拓く「数千…
  • 8
    ロシア兵「そそくさとシリア脱出」...ロシアのプレゼ…
  • 9
    ウクライナ「ATACMS」攻撃を受けたロシア国内の航空…
  • 10
    ロシア軍は戦死した北朝鮮兵の「顔を焼いている」──…
  • 1
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 2
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 3
    ロシア兵「そそくさとシリア脱出」...ロシアのプレゼンス維持はもはや困難か?
  • 4
    半年で約486万人の旅人「遊女の数は1000人」にも達し…
  • 5
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 6
    「炭水化物の制限」は健康に問題ないですか?...和田…
  • 7
    ミサイル落下、大爆発の衝撃シーン...ロシアの自走式…
  • 8
    コーヒーを飲むと腸内細菌が育つ...なにを飲み食いす…
  • 9
    2年半の捕虜生活を終えたウクライナ兵を待っていた、…
  • 10
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中