「欧米人はどう見られているかを真剣に考えるべき」中国人研究者から見た、ウクライナ戦争と世界地図
HOW CHINA SEES IT
アメリカは自らが決めた優先順位にヨーロッパや日本や韓国を縛り付け、ロシアを孤立させ、中国に領土保全といった問題について立場を明確にするよう迫ってきた。中国も自国に対するロシアの従属的立場を強化し、グローバルサウス(途上国の大半が位置する南半球)で非同盟を支持する国を増やしてきた。
ヨーロッパの指導者たちは21世紀のチャーチルを気取るが、中国人からみれば地政学的ゲームの駒にすぎない。ウクライナの戦争は、新型コロナによる混乱や米中の覇権争いに比べれば大したことはないというのが、筆者が話した中国人研究者らの一致した見解だ。
もちろん、前述の中国人研究者の主張には反論の余地がある。ヨーロッパは彼が暗示する以上に主体性があり、ロシアの侵略に対するヨーロッパの積極的対応はこの戦争が大規模な国境紛争に発展するのを防ぐだろう。
それでも、中国人の見方が欧米人とは大きく違うことは一考に値する。欧米人は世界からどうみられているかをもっと真剣に考えるべきだ。
そうすれば、欧米の対ロシア制裁を支持しない国がある理由が分かるかもしれない。「支配権回復」の駆け引きが増す今、欧米以外の国がウクライナの重要性を軽視するのはそう意外ではない。
欧米人にとってはルールに基づく秩序を守る英雄的行為でも、非欧米諸国の人々からみれば急速に多極化する世界における欧米の覇権の最後のあがきなのだ。