最新記事
兵器

「次は馬で出撃か?」 戦車不足のロシア、1940年代の戦車を展開して嘲笑される

Russia Mocked for Rolling Out T-54 Tanks From 1940s: 'What Next, Horses?'

2023年3月24日(金)18時10分
ブレンダン・コール
アフガニスタン紛争で使われたT-54戦車

アフガニスタン紛争で北部同盟によって使われたT-54戦車(2001年11月) Yannis Behrakis-Reuters

<ウクライナで戦争が始まってから、1871台のロシアの戦車が破壊、損傷、放棄、または捕獲されているという>

ロシア国内を輸送中とされるソビエト連邦時代の古い戦車の映像がネット上に投稿され、話題となっている。ウクライナの戦場でロシア軍が被った被害は、こんな旧式の戦車を持ち出さなければならないほど深刻な戦車不足をもたらしたのか、というのだ。

■【写真】一体いまは何年なんだ? ネットで嘲笑されたロシア戦車、実際の輸送の様子

オープンソースの調査報道団体「コンフリクト・インテリジェンス・チーム(CIT)」は、戦場におけるロシアの装備の損失は非常に大きく、不足分を補うため、70年前の装甲車を使おうとしている、と報告している。

ジョージアの首都トビリシに拠点を置くCITは、撮影日不明の動画を公開し、ソ連時代の戦車T-54とT-55が、ロシア極東の沿岸地方にあるアルセーニエフから列車で西に運ばれていると説明した。T-54は1946年、ヨシフ・スターリン政権下で生産が開始され、1950年代が終わるころ、ソ連軍機甲部隊の主力となった戦車だ。

ソーシャルメディアでは、この動画が意味することや、これらの戦車が前線で使われるかどうかについて臆測が飛び交っている。欧州外交評議会(ECFR)の共同議長カール・ビルトは、これらの戦車の派遣は、「戦争をいつまでも続けるというロシアの決意」とともに、ロシアの最新兵器がいかに「枯渇している」かを示しているとツイートした。

「次は何だ? T-34? それとも馬?」

デニス・ダビドフという人物はツイッターで、1980年代に退役したはずが2022年秋にウクライナ戦に投入されて話題になった「T-62」のことを引き合いに出しながら、「T-62でさえ、T-54に比べれば超現代的だ...次は何だ? T-34? それとも、馬か?」と書いている。T-34は、第2次世界大戦で使われたソ連の戦車だ。

また別のユーザーは、ウクライナに提供されている欧米の最新兵器と、ソ連時代の在庫の違いを強調。「(ドイツの戦車)レオパルト1や、(フランスの装甲車)AMX-10RCが、T-55やT-62と戦う。いったい今は何年なんだ?」

一方、「ロシアの勝利は必然(Russia Victory is Inevitable)」というアカウント名のユーザーは、ロシアには100ミリ砲弾の膨大な備蓄があるため、「(旧型戦車でも)ほこりをかぶらせておくくらいであれば、有効活用するのは当然だ」と述べている。

このユーザーは、T-54とT-55は、戦闘ではなく、戦闘部隊の砲撃支援、検問所の警備、敵の攻撃を引き付けるおとりとして使われるのではないかと述べている。「それでもウクライナの人々は、『ロシアにはもう戦車がない』と大騒ぎするんだろう」と、このユーザーは補足する。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

トランプ氏とゼレンスキー氏が「非常に生産的な」協議

ワールド

ローマ教皇の葬儀、20万人が最後の別れ トランプ氏

ビジネス

豊田織機が非上場化を検討、トヨタやグループ企業が出

ビジネス

日産、武漢工場の生産25年度中にも終了 中国事業の
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
2025年4月29日号(4/22発売)

タイ・ミャンマーでの大摘発を経て焦点はカンボジアへ。政府と癒着した犯罪の巣窟に日本人の影

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 2
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口の中」を公開した女性、命を救ったものとは?
  • 3
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは? いずれ中国共産党を脅かす可能性も
  • 4
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 5
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 6
    ロシア武器庫が爆発、巨大な火の玉が吹き上がる...ロ…
  • 7
    足の爪に発見した「異変」、実は「癌」だった...怪我…
  • 8
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 9
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 10
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 1
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 2
    「スケールが違う」天の川にそっくりな銀河、宇宙初期に発見される
  • 3
    【クイズ】「地球の肺」と呼ばれる場所はどこ?
  • 4
    「生はちみつ」と「純粋はちみつ」は何が違うのか?.…
  • 5
    女性職員を毎日「ランチに誘う」...90歳の男性ボラン…
  • 6
    教皇死去を喜ぶトランプ派議員「神の手が悪を打ち負…
  • 7
    自宅の天井から「謎の物体」が...「これは何?」と投…
  • 8
    トランプ政権はナチスと類似?――「独裁者はまず大学…
  • 9
    健康寿命は延ばせる...認知症「14のリスク要因」とは…
  • 10
    【クイズ】世界で最もヒットした「日本のアニメ映画…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった...糖尿病を予防し、がんと闘う効果にも期待が
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 5
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 6
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 7
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 8
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 9
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中