被災地支援に熱心なエルドアン大統領、元首相の退陣が脳裏をよぎる
地震の2日後には被災地を訪問 MURAT CETINMUHURDARーPRESIDENTIAL PRESS OFFICEーHANDOUTーREUTERS
<建物の耐震基準を強化しなかった政府の責任が問われかねない、巨大地震。1999年の大地震の際、エジェビット首相は退陣に追い込まれ、エルドアン台頭の糸口に>
2月6日にトルコとシリアの国境付近で発生した巨大地震を受けて、トルコのエルドアン大統領は被害が甚大な10県に3カ月間の非常事態宣言を発令。8日には被災地に赴き、救助活動の指揮を執る姿をアピールした。
エルドアンの迅速な対応は先人を反面教師にしたためだろう。1999年にトルコ北西部で大地震が起きた際には、政府の対応の遅れに批判が殺到。エジェビット首相(当時)は退陣に追い込まれ、エルドアン台頭の糸口となった。
エルドアンにとっての不安材料は、無数の建物が倒壊した光景かもしれない。今回の被災地は政権と関係の深い企業による建設ラッシュが続いていた地域で、建物の耐震基準を強化しなかった政府の責任が問われかねない。
一方、シリア側の被災地は反体制派の支配地域で、シリア政府による救援は期待できない。しかも、国際支援の窓口として唯一認められていたルートも地震の影響で寸断されている。