韓国政界名物の「汚職劇場」が再び始まった
Politicized Justice
サッカー献金疑惑で水原地検に出頭した李(中央) AP/AFLO
<最大野党代表が出頭、尹政権には検察の政治利用との批判が>
韓国の革新系最大野党・共に民主党の李在明(イ・ジェミョン)代表が追い詰められている。
昨年12月、ソウル近郊に位置する京畿道の水原地検は李に出頭を要請。理由は、京畿道城南市の市長時代(2010~18年)の汚職容疑だ。
同地検によれば、李はオーナーを務めていた地元サッカーチーム「城南FC」への後援金を斗山建設などの企業から受け取ったとされる。李は見返りに、市長権限を利用して、献金企業に便宜を図ったという。
その1つが、後援金50億ウォン(約5億2500万円)と引き換えに、斗山が城南市盆唐区に所有する土地の用途変更を認めた疑惑だ。同社はこの土地を商業目的で開発した。決定は城南FCへのスポンサーシップとは無関係だと、李は主張。一連の捜査は、尹錫悦(ユン・ソギョル)大統領とその政権の「野党つぶしや政敵排除」の動きだと怒りを表明している。
昨年の韓国大統領選で共に民主党候補だった李は、保守系の国民の力党候補で元検事総長の尹と対決。民主化以降の大統領選史上、最も僅差の得票率0.73ポイント差で敗れた。尹は政治的動機に基づく捜査で政敵を封じ込め、検察出身者の権力強化を狙っていると、共に民主党は非難している。
李が出頭要請に応じ、初めて検察庁に姿を見せたのは1月10日のことだ。城南FCへの資金提供は合法的な企業スポンサーシップと認められるか、また城南FCへの後援金が一部であれ李の懐に入ったのかという2つの疑問点について、本人は違法性を否定。スポンサーシップ契約は適法かつ適切だったと主張した。
さらに1月28日、李はソウル中央地検に出頭し、城南市長時代の都市開発プロジェクトをめぐる別の疑惑について取り調べを受けた。
問題になっているのは、15年に同市で始まった大庄洞(テジャンドン)地区宅地開発事業だ。この1兆5000億ウォン規模の官民共同プロジェクトには、創設まもない民間資産運用会社「火天大有」が加わった。検察側は李が火天大有の最大株主で、開発事業の巨額利益を政治資金に流用したとみている。
李は容疑を否認し、このプロジェクトに関して民間事業者とはいかなる関係もないと主張している。李によれば、城南市側は同開発事業によって、同市の官民共同事業の利益として過去最高の5500億ウォン近くを得たという。