最新記事

韓国

韓国政界名物の「汚職劇場」が再び始まった

Politicized Justice

2023年2月8日(水)11時30分
チェルシー・アレクサンドル(韓国政治研究者)
李在明

サッカー献金疑惑で水原地検に出頭した李(中央) AP/AFLO

<最大野党代表が出頭、尹政権には検察の政治利用との批判が>

韓国の革新系最大野党・共に民主党の李在明(イ・ジェミョン)代表が追い詰められている。

昨年12月、ソウル近郊に位置する京畿道の水原地検は李に出頭を要請。理由は、京畿道城南市の市長時代(2010~18年)の汚職容疑だ。

同地検によれば、李はオーナーを務めていた地元サッカーチーム「城南FC」への後援金を斗山建設などの企業から受け取ったとされる。李は見返りに、市長権限を利用して、献金企業に便宜を図ったという。

【動画】韓国に進出した日本のセクシー俳優たち

その1つが、後援金50億ウォン(約5億2500万円)と引き換えに、斗山が城南市盆唐区に所有する土地の用途変更を認めた疑惑だ。同社はこの土地を商業目的で開発した。決定は城南FCへのスポンサーシップとは無関係だと、李は主張。一連の捜査は、尹錫悦(ユン・ソギョル)大統領とその政権の「野党つぶしや政敵排除」の動きだと怒りを表明している。

昨年の韓国大統領選で共に民主党候補だった李は、保守系の国民の力党候補で元検事総長の尹と対決。民主化以降の大統領選史上、最も僅差の得票率0.73ポイント差で敗れた。尹は政治的動機に基づく捜査で政敵を封じ込め、検察出身者の権力強化を狙っていると、共に民主党は非難している。

李が出頭要請に応じ、初めて検察庁に姿を見せたのは1月10日のことだ。城南FCへの資金提供は合法的な企業スポンサーシップと認められるか、また城南FCへの後援金が一部であれ李の懐に入ったのかという2つの疑問点について、本人は違法性を否定。スポンサーシップ契約は適法かつ適切だったと主張した。

さらに1月28日、李はソウル中央地検に出頭し、城南市長時代の都市開発プロジェクトをめぐる別の疑惑について取り調べを受けた。

韓国戦車が欧州の戦場を埋め尽くす日

問題になっているのは、15年に同市で始まった大庄洞(テジャンドン)地区宅地開発事業だ。この1兆5000億ウォン規模の官民共同プロジェクトには、創設まもない民間資産運用会社「火天大有」が加わった。検察側は李が火天大有の最大株主で、開発事業の巨額利益を政治資金に流用したとみている。

李は容疑を否認し、このプロジェクトに関して民間事業者とはいかなる関係もないと主張している。李によれば、城南市側は同開発事業によって、同市の官民共同事業の利益として過去最高の5500億ウォン近くを得たという。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

アングル:フィリピンの「ごみゼロ」宣言、達成は非正

ワールド

イスラエル政府、ガザ停戦合意を正式承認 19日発効

ビジネス

米国株式市場=反発、トランプ氏就任控え 半導体株が

ワールド

ロシア・イラン大統領、戦略条約締結 20年協定で防
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプ新政権ガイド
特集:トランプ新政権ガイド
2025年1月21日号(1/15発売)

1月20日の就任式を目前に「爆弾」を連続投下。トランプ新政権の外交・内政と日本経済への影響は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼いでいるプロゲーマーが語る「eスポーツのリアル」
  • 2
    「搭乗券を見せてください」飛行機に侵入した「まさかの密航者」をCAが撮影...追い出すまでの攻防にSNS爆笑
  • 3
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べている」のは、どの地域に住む人?
  • 4
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 5
    感染症に強い食事法とは?...食物繊維と腸の関係が明…
  • 6
    フランス、ドイツ、韓国、イギリス......世界の政治…
  • 7
    オレンジの閃光が夜空一面を照らす瞬間...ロシア西部…
  • 8
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者…
  • 9
    「ウクライナに残りたい...」捕虜となった北朝鮮兵が…
  • 10
    強烈な炎を吐くウクライナ「新型ドローン兵器」、ロ…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 3
    睡眠時間60分の差で、脳の老化速度は2倍! カギは「最初の90分」...快眠の「7つのコツ」とは?
  • 4
    メーガン妃のNetflix新番組「ウィズ・ラブ、メーガン…
  • 5
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼い…
  • 6
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲う…
  • 7
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 8
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 9
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 10
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 3
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 4
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊…
  • 5
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が…
  • 6
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 7
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
  • 10
    「腹の底から笑った!」ママの「アダルト」なクリス…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中