ロシアで服役中の米国人が送る拷問の日々...家族が語るウクライナ戦争後の変化と不安
My Twin in a Russian Prison
ウクライナ戦争により支援が困難に
ロシアがウクライナで戦争を始めてからは、こうした手配はずっと困難になった。ポールはロシアの銀行に口座を持っていないから、自分で新鮮な果物や野菜を買うことができない。しかも今は、私たちがロシアの食品店に代金を振り込むこともできない。ポールの手元に郵便を届けるのも難しい。戦争が続いている以上、ロシア宛ての郵便は配達されないからだ。
いつだったか、ある記者が私に、ポールの奪還に関して「アメリカ政府」からの金銭的支援はあるのかと聞いてきた。私は笑って答えた。あるわけない、一銭もないと。
12月に釈放されたのが(ポールではなく)グライナーだと聞いたとき、私は希望というものを失いかけた。そして図書館員の悲しいさがで、「希望」という単語を片っ端から検索した。そうでもしないと、永遠に希望が失われてしまうような気がした。
そう、いずれは好ましい結果が出ると信じること。それが「希望」だ。だからポールが釈放される日まで、私は決して、彼が釈放されるという希望を捨てない。
そして彼が帰ってきたら、「久しぶりだね」と声をかけ、彼が満面の笑みを浮かべて「まあな」と言ってくれるのを待つ。その日が来たら、私は喜んで沈黙する。
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