「マネキンも捕らえられ、閉じ込められている」タリバン支配下のマネキンは斬首を免れた......
タリバンの宗教警察「勧善懲悪省(悪徳美徳省)」は、すべてのマネキンを店の窓から撤去するか、首を切り落とさなければならないと命じた...... YouTube/ @channelnewsasia
<アフガニスタンの首都カブール中の女性服店のマネキンは、頭部に布袋で覆われたり、黒いビニール袋で包まれたりして、街は異様な光景を呈している。その理由は......>
タリバン政権の支配のもと、アフガニスタンの首都カブール中の女性服店のマネキンは、頭部に布袋で覆われたり、黒いビニール袋で包まれたりして、街は異様な光景を呈している。頭巾をかぶったマネキンは、タリバンの純血主義的なアフガニスタン支配を象徴するようだ。
しかし見方を変えると、カブールのアパレル小売業者による、ささやかな抵抗と創造性の表れとも捉えられる。
ある店のマネキンの頭部は、着用している伝統的なドレスと同じ素材で作られた袋のようなものを被せられている。紫色のドレスのマネキンは、同じ紫色の頭巾を。もう一人は金の刺繍が施された赤いドレスで、顔には赤いベルベットの仮面、頭には優雅な金の冠をかぶっている。
「マネキンの頭にプラスチックや変なものをかぶせると、ショーウインドーも店も見栄えが悪くなってしまうから」と、店のオーナーのバシルさんは言う。他のオーナーと同様、彼は報復を恐れてファーストネームのみを名乗ることを条件にAP通信の取材に応じた。
>>■■【動画】カブールの様子「タリバンの政権下のマネキンは斬首を免れた」
当初はマネキンの斬首を命じられた
地元メディアによると、2021年8月に政権を奪取して間もなく、タリバンの宗教警察である「勧善懲悪省(悪徳美徳省)」は、すべてのマネキンを店の窓から撤去するか、首を切り落とさなければならないと命じたという。
偶像として崇拝される可能性があるため、人間の形をした像や画像を禁じるイスラム法の厳格な解釈に基づく命令だった。
服の売り手の中には、これに従う者もいたが、反発の声も上がった。
マネキン斬首令に異論を唱えた衣料品店のオーナーたちは、服をきちんと展示できなくなる、あるいは貴重なマネキンを傷つけなければならなくなると訴え、タリバンに規則の修正を求めた。これを受け、タリバンは命令を修正し、マネキンの頭を覆うことを許可した。
マネキンの斬首は免れたものの、店主たちの次なる課題は、頭部を覆ったマネキンの見栄えを如何によく見せるか、ということだ。タリバンへの従属と、顧客へのアピールのバランスに頭を悩ませた。
その結果行き着いたのが、マネキンが着用するドレスとセットのヘッドピースのようにも見えるスタイリングだ。
別の店主ハキムさんは、マネキンの頭にアルミホイルをかぶせた。光に反射し煌めくアルミ箔をマネキンの頭にかぶせることで、商品に華やかさを添える意図だ。「この脅威と禁止令をチャンスと思い、マネキンが以前より魅力的に見えるようにしました」
経済低迷でアパレル小売の売り上げは半減
アフガニスタンでは結婚式はタリバン以前から結婚式は男女別だった。保守的な同国では結婚式は女性にとって最も美しく装う、心踊る場だった。
タリバン政権下では、結婚式は以前以上に数少ない社交の場となった。しかし、経済は低迷し国民は貧しさで苦しんでいる。限りあるわずかな収入を、結婚式に費やすことはなくなってきている。