【英王室】2人が「うっとうしいカップル」であることをまずは認めるべき
The “H” and “M” Problem
リアリティー番組的なわざとらしさが漂うが、差別に対する告発も COURTESY OF PRINCE HARRY AND MEGHAN, THE DUKE AND DUCHESS OF SUSSEX
<話題作『ハリー&メーガン』でも「かなりイラつくカップル」のハリー王子とメーガン妃。2人のウザさと不快感を素直に感じて認めることこそが、2人への理解につながる>
あの夫妻の新たな行動に、イギリスの保守派が猛反発するのに時間はかからなかった。
ネットフリックスのドキュメンタリー作品『ハリー&メーガン』の前半の3話が配信されたのは昨年12月8日。その直後からメーガン妃批判派はあら探しをする狙撃手のように、少々不発だった場面に狙いを定めた。故エリザベス女王に紹介された際の様子を、彼女が再現したくだりだ。
女王と対面したときは独特のお辞儀をすべきことも、お辞儀の仕方も知らなかった。冗談めいたそぶりで、そう振り返ったメーガンへのばかげた非難の最高峰は、英タブロイド紙デイリー・メールのコラムニスト、サラ・バインのこんなツイートだ。
「メーガンが私たちの文化を嘲笑することが、なぜ許されるのか? それとも人種差別は一方通行でしかあり得ないのか?」
比較的無害な物事をねじ曲げて、メーガンの「悪事」だとヒステリックに騒ぎ立てる一派を前にして、イギリス人の筆者はいつもの脱力感に襲われた。メーガンに対する英王室と英メディアの態度にぞっとしている者たちは、これでまた擁護の論戦に突き進むだろう......。
この手の泥仕合を避けるには、ヘンリー王子とその妻をめぐる基本的な真実をファンも遠慮なく認めればいいのではないか。つまり、2人は確かにひどい扱いを受けてきたが、今回のドキュメンタリーがありありと示すように、正直なところかなりイラつくカップルでもある、と。
不快だけど正しい2人
こんなことを言うのは、『ハリー&メーガン』の多くの部分にうんざりしたからだ。
番組は素顔の「H」と「M」――2人はしつこいほど、互いをイニシャルでそう呼び合う――というイメージを与えようと懸命だが、夫妻は台本どおりに動くリアリティー番組の出演者に見えることがしばしばだ。
英メディアや英王族にどう扱われてきたかを論じる言葉には真実味があふれる一方、出会った頃を振り返る場面はわざとらしくて、ぎこちない。
それでも筆者は当初、夫妻が鼻につく理由を語るつもりはなかった。客観的視点や品位を保つことに無関心な者が大半である批判派と、政治的に結び付けられたくはない。