アジアを「野心」からどう守るか?──2つのカギはインドの「クセ」と日韓関係
中国の地域覇権への野望や北朝鮮というならず者国家によって日韓が直面する安全保障上の脅威に比べれば、日韓間の違いなど大した問題ではないことを双方とも認識すべきだ。
ウクライナでの戦争を目の当たりにした両国の政治指導者たちが、歴史論争などをやめて共同の国家安全保障への取り組みに力を入れ始めることを期待したいところだ。
いわゆる大国と、大国になりたい国も、地政学的な「真空」を放っておけない。プーチンはNATOとEUに加盟していないウクライナの孤立状態を、付け込む隙と見なした。
アジアでは中国が周辺、特に南シナ海の非同盟諸国に好戦的な要求をするのを放置したせいで、同じような流れが生まれている。南太平洋では、民主主義諸国が小さな島しょ諸国をなおざりにした結果、中国に軍事的進出を狙う隙を与えている。
幸い、今日の連帯と安全保障の実現を求める動きは、この地域の制度的な真空を埋め始めている。地域の団結の高まりが意味するのは、どこかの大国がアジアの地図を一方的に描き換えようとすれば、足並みをそろえた抵抗に遭うということだ。
小池百合子
YURIKO KOIKE
東京都知事。第1次安倍内閣で首相補佐官(国家安全保障問題担当)、防衛相。2016年から現職。