ソウル、悪化する住宅事情 半地下よりひどい「半部屋」マンション
地下駐車場の横にある倉庫のようなドアを開くとその中は…… JTBC News / YouTube
<映画『パラサイト 半地下の家族』で描かれた過酷なソウルの住宅事情はさらに悪化した?>
文在寅(ムン・ジェイン)前政権下で高騰を続けた韓国ソウルの住宅価格。尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権に変わって、マンションなどは下落傾向へと反転したものの、若い世代にとってはソウルで住宅を購入するのは夢のまた夢であることに変わりはない。こうしたなかで、ひとり暮らしの若者などを対象にした劣悪なワンルームの物件が問題となっている。韓国JTBCが報じた。
建築届けの3倍の部屋がある建物
韓国では高層マンションをアパート、5階以下の低層の共同住宅をヴィラあるいはマンションと呼ぶ。アパートは間取りが3LDK以上で平均100平米と広いうえ管理人がいて共益費もかかるが快適に生活ができる。一方のヴィラは管理人がおらず、エレベーターがないなど共用設備が整備されておらず、その分低価格で住むことができる。
ソウルなどの大都市、事務所と住居の両方で利用が可能なオフィステルとよばれる小型のマンションや、日本同様にひとり暮らしの人向けのワンルームも普及している。
ソウル・鷺梁津(ノリャンジン)の低層ワンルームマンションが立ち並ぶエリア。そのなかのとある建物に入るとアリの巣のように狭く曲がりくねった廊下が見える。両側にはたくさんのドアが並んでいる。部屋のドアを開いたら、別の廊下と部屋が現れる巨大迷路のような構造になっている。
建築物台帳に記載されたこの建物全体の部屋数は5戸、しかし、実際に建物の中で確認すると15戸があった。一つの部屋を違法改造して分割しているのだ。
不動産業者のA氏は「できるだけ小さくして、一つでも貸す部屋を増やそうとしたのでしょう」と語る。
その近くにある別のワンルームマンションは、外から見るとごく一般的なヴィラなのに中に入るとまったく違う姿を見せる。鉄製のドアが並んでいる様子は、まるで刑務所の独房のような雰囲気だ。
この建物も建築物台帳には2階と3階にそれぞれ5戸が登録されているが、実際はどうかというと......。
「2階に11戸ありますよ。3階も11戸か12戸が入ってます」(前述の不動産業者A氏)