最新記事

ヒーロー

誰も見たくなかった王者ロナウドの涙、なぜポルトガルは敗退したのか

Cristiano Ronaldo's Reaction to Morocco Defeating Portugal Divides Internet

2022年12月12日(月)16時46分
トーマス・キカ

最期まで必死に戦った王者ロナウド(12月10日、モロッコ対ポルトガル) Suhaib Salem-REUTERS

<サッカー史に残る名選手がW杯では無冠のまま敗退。涙にくれる姿には同情論も聞かれるが......>

サッカー・ワールドカップ(W杯)カタール大会の準々決勝で、強豪ポルトガル代表がまさかの敗北。ポルトガルの主軸選手であるクリスティアーノ・ロナウドの感情的な反応がインターネットで議論を呼んでいる。

12月10日、ポルトガルはモロッコに0対1で敗北を喫し、ロナウドは涙を流しながらピッチを去った。ロナウドは開幕前、W杯に出場するのは今大会が最後になるだろうと語っており、もし代表を引退するならサッカー史に残る名選手と言われる彼が、Wカップ優勝を手にできないままキャリアを終わることになる。

ロナウドの涙を目にしたネットユーザーからは当然ながら、彼への賞賛と同情の声が上がった。だが一方で、モロッコ代表の選手たちと握手しなかったことなど、試合後のロナウドの態度を問題視する声も多かった。

イギリスのジャーナリストで元BBC特派員のジョン・ソーペルも、敗北の際のスポーツマンシップの欠如と感じて批判した。

「ピッチに残って勝者モロッコと握手しないとは、ロナウドもお粗末だ」とソーペルはツイッターに投稿した。「あれだけの大物選手が......みっともない」


「ピッチの中でも外でもつらい時期」

ソーペルのツイートに対し、他のツイッターユーザーからは支持とともに、「利己的で自己中心的で傲慢な選手」だとか「体は大きいのに中身は赤ん坊」だとロナウドを非難する声が上がった。

一方で、保守系コメンテーターでジャーナリストのピアーズ・モーガンは、ロナウドをサッカー史に残る偉大な選手だとほめたたえ、彼への非難に異を唱えた。ロナウドにとってこの1年は個人的にもつらい時期だったとも擁護した。これは今年春にロナウドが生後間もない息子を亡くしたことを指すのかも知れない。

「ワールドカップ優勝の夢が潰えてクリスティアーノが涙しているのを見るのはとても悲しい」とモーガンはツイートした。「彼をバカにしている人々は、これまでの彼のサッカーへの貢献を思い出すべきだ。私にとって、彼は史上最高の選手であり、ピッチ上でもピッチ外でも人生で最もつらい1年を送ってきた偉大な男だ。彼は尊敬に値する人物だ」

だがモーガンのツイートへの返信を見ると、賛成の声は比較的少なかった。あるユーザーは、モロッコチームへのロナウドの対応は「困ったもの」で「利己的だ」と書いた。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ロシア政府系ファンド責任者、今週訪米へ 米特使と会

ビジネス

欧州株ETFへの資金流入、過去最高 不透明感強まる

ワールド

カナダ製造業PMI、3月は1年3カ月ぶり低水準 貿

ワールド

米、LNG輸出巡る規則撤廃 前政権の「認可後7年以
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 2
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2人無事帰還
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 5
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 6
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 7
    「隠れたブラックホール」を見つける新手法、天文学…
  • 8
    【クイズ】アメリカの若者が「人生に求めるもの」ラ…
  • 9
    【クイズ】2025年に最も多くのお金を失った「億万長…
  • 10
    トランプが再定義するアメリカの役割...米中ロ「三極…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「最大の戦果」...巡航ミサイル96発を破壊
  • 3
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥーが解明される...「現代技術では不可能」
  • 4
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 5
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 6
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 7
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 8
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 9
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 10
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジ…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中