ロシア産原油「甘い」とされる制裁、その背景事情──西側諸国のジレンマ
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<G7とEU、オーストラリアはロシア産原油の取引価格に上限を設ける追加制裁を発動した。ウクライナのゼレンスキー大統領は上限価格を「甘い」と批判。その背景には西側諸国が抱えるジレンマがある>
12月5日、G7とEU、オーストラリアはロシアへの追加制裁として、海上輸送されるロシア産原油の取引価格に1バレル=60ドルの上限を設定する措置を発動した。
ロシアの資金源を断つ狙いだが、上限価格のさらなる引き下げを訴えていたウクライナのゼレンスキー大統領は、甘い対応だと批判している。
実際、この制裁は矛盾する2つのニーズを抱えた西側諸国の妥協の産物だ。各国は原油を主要な収入源とするロシアに制裁を科したい一方で、ロシア産原油を市場に残して自国経済への打撃を和らげる必要にも迫られている。
「極めて難しい綱渡りだ」と、石油関連のコンサルティング企業エナジー・アスペクツのリチャード・ブロンズは言う。
一方、この措置に猛反発するロシアは上限を導入する国への石油供給を拒み、減産の可能性も示唆している。さらに「影の船団」と呼ばれる大量のタンカーを調達し、制裁の網をかいくぐって中国やインド、トルコへの輸出をもくろんでいるとみられる。