最新記事

ロシア

プーチン後のロシアは正真正銘の「ギャング国家になる」とギャングが警告

Russian Mob Boss Warns 'There Is a Change of Power' in the Country

2022年11月30日(水)15時47分
イザベル・ファン・ブリューゲン

プーチンの後継と目されるワグネル創設者プリゴジンが元囚人たちを野に放つ?(写真はFBIの手配書)FBI/REUTERS

<プーチンの側近プリゴジンが創設した民間軍事会社ワグネルが刑務所で囚人を動員していることは知られていたが、あるマフィアのボスは、それがいずれギャングとしてロシア社会に放たれることになると警告する>

あるロシアマフィアのボスが、ロシアの民間軍事会社ワグネル・グループがウクライナ戦争のために囚人を採用している件について、市民に警告した。彼らはいずれ社会に大混乱をもたらし、ロシアの「権力構造が一変」するというのだ。

グリシャ・モシュコフスキーは11月、ソーシャルメディアで拡散した動画の中で、ウラジーミル・プーチンの側近で後継とも目されるワグネル・グループの創設者、エフゲニー・プリゴジンと、チェチェンの首長ラムザン・カディロフを名指しし、2つの権力グループができつつあると発言。ロシア市民に警戒を呼び掛けた。

【動画】「元囚人たちに気をつけろ」と、訴えるマフィアのボス

「ロシアでは今、2つのギャングが結成されている。一つはワグネルのギャング、もう一つはカディロフのギャングだ。権力構造が一変しようとしている」とモシュコフスキーは述べている。「この状況は、ロシアとロシア人のためにならない」

【動画】プリゴジンは刑務所で男たちとオーラルセックスをしていた、と言う元囚人

腹を空かせた奴らは危険

モシュコフスキーは、ワグネル・グループがウクライナ戦争のために大量の囚人を採用している事実を指摘した。囚人擁護団体ロシア・ビハインド・バーズ(Russia Behind Bars)を率いるオルガ・ロマノヴァによれば、ワグネル・グループは、ロシアの遠隔地にある流刑地で兵士を採用してきた。

またロシアの調査報道機関インポータント・ストーリーズは最近、サンクトペテルブルクの囚人が、ウクライナ戦争に参加すれば自由と金を得られるという勧誘を受けていると報じた。

サンクトペテルブルクで服役している囚人の親族たちはインポータント・ストーリーズに対し、ウクライナのドンバス地方で6カ月の兵役に「志願」し、生きて帰ればワグネル・グループから20万ルーブル(約45万6000円)と恩赦を与えられると語っている。

「ワグネルの兵士がどういう者たちなのか、想像してみてほしい。20歳、15歳、18歳、19歳の元囚人で、レイプや殺人、あらゆる暴力犯罪に関わってきた」とモシュコフスキーは話す。「彼らが自由の身になり、食べたい、稼ぎたい、良い気分になりたいと思っている。そのとき、彼らは誰のところに行くだろう? ロシアの一般市民である皆さんのところに行くはずだ」

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、米軍制服組トップ解任 指導部の大規模刷

ワールド

アングル:性的少数者がおびえるドイツ議会選、極右台

ワールド

アングル:高評価なのに「仕事できない」と解雇、米D

ビジネス

米国株式市場=3指数大幅下落、さえない経済指標で売
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ウクライナが停戦する日
特集:ウクライナが停戦する日
2025年2月25日号(2/18発売)

ゼレンスキーとプーチンがトランプの圧力で妥協? 20万人以上が死んだ戦争が終わる条件は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 3
    メーガン妃が「アイデンティティ危機」に直面...「必死すぎる」「迷走中」
  • 4
    1888年の未解決事件、ついに終焉か? 「切り裂きジャ…
  • 5
    深夜の防犯カメラ写真に「幽霊の姿が!」と話題に...…
  • 6
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 7
    ソ連時代の「勝利の旗」掲げるロシア軍車両を次々爆…
  • 8
    私に「家」をくれたのは、この茶トラ猫でした
  • 9
    トランプが「マスクに主役を奪われて怒っている」...…
  • 10
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 3
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 4
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 5
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 6
    朝1杯の「バターコーヒー」が老化を遅らせる...細胞…
  • 7
    7年後に迫る「小惑星の衝突を防げ」、中国が「地球防…
  • 8
    ビタミンB1で疲労回復!疲れに効く3つの野菜&腸活に…
  • 9
    「トランプ相互関税」の範囲が広すぎて滅茶苦茶...VA…
  • 10
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 4
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」…
  • 5
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 6
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 7
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 8
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 9
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果…
  • 10
    「DeepSeekショック」の株価大暴落が回避された理由
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中