中国は「GDPアメリカ超え」を諦め、ゼロコロナを突き進む
XI MISSES THE MARK
この制裁措置の長期的な影響を正確に予測することは難しいかもしれない。
少なくとも、中国の大手半導体メーカーはアメリカ製の部品やソフトウエア、あるいは米企業が関与している部品を入手できなくなり、確実に大打撃を受けることになると思われる。
今回の輸出規制の特徴は、ハードウエアだけでなく、人的資本にも規制が及んでいることだ。
米国民や永住権の取得者は、中国の半導体関連企業で働く場合は商務省の許可を得なければならず、さもなければ訴追されることになる。
この規制が導入されれば、科学技術で世界をリードするという中国の長期的な野心の実現に不可欠な分野で協力してくれるアメリカ人はいなくなるだろう。中国政府は、そんなことをすれば米企業にも大きな打撃になると反論している。
従来の規制はもっと緩く、中国企業には一定の抜け道もあった。だが規制の強化で「中国の先端的半導体開発は大きな打撃を受ける」と、台北のエコノミストの林は言う。
中国にとっての選択肢は限られている。
林によれば、アメリカの技術が手に入らなければ、中国は国内の半導体産業に多額の補助金をつぎ込み、台湾を含む国外から人材を集めて在来型の半導体市場でシェアの拡大を目指すほかない。
しかし、「そうした方法でアメリカによる規制の影響をどこまで軽減できるかは不透明だ」と、ブルッキングス研究所のシューは言う。
「中国がどれだけ早くアメリカの規制に打ち勝ち、技術的に望む水準に到達するか。その見極めは難しい」
「アメリカの規制が中国の軍事力と経済力に影響を与えるのは確実で、人工知能(AI)やEV、ロボット、5Gの通信技術など、中国国内の広範な産業が衰弱するだろう。一方で、今も中国企業とかなりの取引をしている多くの米企業も相当な影響を受ける」と、シューはみる。
中国政府は10月24日に、遅れていたGDPの数値を発表した。
第3四半期の成長率は3.9%で、4~6月期の0.4%から回復した。だが1~9月累計の成長率は3%となり、通年でも5.5%という目標を下回ることが確実になった。
3.9%でも一部の予測を上回っていたが、投資家の信頼感を高めるには至らなかった。中国と香港の株価指数は、この数字が発表された24日に大きく下落し、終値はこの10年で最低の水準だった。
中国共産党が全会一致で習を総書記に推挙し、異例の3期目続投を認めた翌日に、株式市場が暴落した。
偶然ではないだろう。習が党の指導部を自分に忠実な党官僚で固め、建国の父・毛沢東以来の強大な権力を握ったせいだ。
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