経済・移民・環境・宗教・医療・選挙権・3期目──トランプ「次期」大統領の野望が変えるアメリカ
IF HE WINS AGAIN
トランプはすんなり権力を手放すのか SARAH SILBIGER-UPI-BLOOMBERG/GETTY IMAGES
<2024年にもし再選を果たしたら、新政権のアジェンダはどうなるか。ゴリ押し人生を送ってきたトランプは合衆国憲法を覆そうとする可能性も(後編)>
※前編はこちら:トランプが次期大統領になったら「本当に常軌を逸したことが始まる」 人事、軍掌握、対ロシア
※中編:「トランプは同盟に興味を示したことも理解したこともない」2期目トランプの外交・権力強化予測 より続く。
変わらない政策
支持者や側近にそそのかされて、トランプは1期目に大論争を巻き起こした政策を、再び、そしてもっと強力に推し進めるだろう。
2020年大統領選の3カ月前に行われたインタビューでも、再選後は「今やっていることを続ける」と自ら語っていた。
「これまでの成果を定着させるし、ほかにもやりたいことがある」
■経済
アメリカ・ファースト政策研究所のロリンズによると、2期目の経済政策のポイントは、「もっと減税を」だ。
「ただし、完全な緊縮財政を取るわけではない。インフラ投資や、寂れたコミュニティーへの再投資が検討される」と彼女は言う。
これは地場産業への投資を促し、黒人とヒスパニックに恩恵をもたらすはずだと、ロリンズは予想する。
■移民
1期目にメキシコ国境に壁を建設しようとして、猛烈な反発に遭ったトランプだが、2期目も「絶対やろうとするだろう」と、ジョージ・ワシントン大学のベルトは語る。
「権威主義者は、自分の記念碑となるものが大好きだ」
ロリンズも、「100%建てるだろう」と言う。
トランプはまた、移民に門戸を閉ざし、不法滞在者を追い返すために、一段と厳しい措置を取るだろう。
中南米諸国から来た人たちは、ひとまず国境地帯の町に滞在して、移民や難民の申請をすることが多いが、トランプは「彼らをわざわざ拘束して、親子を引き離し、母国に送還するだろう」とゲーレンは言う。
これは不法滞在者の労働力に大きく依存する農家に大きな損害をもたらすだろう。しかし農村部はトランプ支持者が多く、トランプに大きな圧力をかけることはなさそうだ。
■環境
この領域のトランプの政策は単純だと、ベルトは言う。「気候変動を遅らせるためにアメリカが約束した目標をお払い箱にする」というのだ。
「温暖化ガスの排出量を削減するための約束を全て撤回し、天然ガスと石油とクリーンコール(精炭)の探査を許可するだろう」
電気自動車などグリーンエネルギー・イニシアティブへの補助や税制優遇措置も廃止されそうだ。