最新記事

米政治

経済・移民・環境・宗教・医療・選挙権・3期目──トランプ「次期」大統領の野望が変えるアメリカ

IF HE WINS AGAIN

2022年11月16日(水)09時50分
デービッド・H・フリードマン(ジャーナリスト)
ドナルド・トランプ

トランプはすんなり権力を手放すのか SARAH SILBIGER-UPI-BLOOMBERG/GETTY IMAGES

<2024年にもし再選を果たしたら、新政権のアジェンダはどうなるか。ゴリ押し人生を送ってきたトランプは合衆国憲法を覆そうとする可能性も(後編)>

※前編はこちら:トランプが次期大統領になったら「本当に常軌を逸したことが始まる」 人事、軍掌握、対ロシア

※中編:「トランプは同盟に興味を示したことも理解したこともない」2期目トランプの外交・権力強化予測 より続く。

変わらない政策

支持者や側近にそそのかされて、トランプは1期目に大論争を巻き起こした政策を、再び、そしてもっと強力に推し進めるだろう。

2020年大統領選の3カ月前に行われたインタビューでも、再選後は「今やっていることを続ける」と自ら語っていた。

「これまでの成果を定着させるし、ほかにもやりたいことがある」

そこで2期目のトランプ政権のアジェンダを予想してみよう。

経済

アメリカ・ファースト政策研究所のロリンズによると、2期目の経済政策のポイントは、「もっと減税を」だ。

「ただし、完全な緊縮財政を取るわけではない。インフラ投資や、寂れたコミュニティーへの再投資が検討される」と彼女は言う。

これは地場産業への投資を促し、黒人とヒスパニックに恩恵をもたらすはずだと、ロリンズは予想する。

移民

1期目にメキシコ国境に壁を建設しようとして、猛烈な反発に遭ったトランプだが、2期目も「絶対やろうとするだろう」と、ジョージ・ワシントン大学のベルトは語る。

「権威主義者は、自分の記念碑となるものが大好きだ」

ロリンズも、「100%建てるだろう」と言う。

トランプはまた、移民に門戸を閉ざし、不法滞在者を追い返すために、一段と厳しい措置を取るだろう。

中南米諸国から来た人たちは、ひとまず国境地帯の町に滞在して、移民や難民の申請をすることが多いが、トランプは「彼らをわざわざ拘束して、親子を引き離し、母国に送還するだろう」とゲーレンは言う。

これは不法滞在者の労働力に大きく依存する農家に大きな損害をもたらすだろう。しかし農村部はトランプ支持者が多く、トランプに大きな圧力をかけることはなさそうだ。

環境

この領域のトランプの政策は単純だと、ベルトは言う。「気候変動を遅らせるためにアメリカが約束した目標をお払い箱にする」というのだ。

「温暖化ガスの排出量を削減するための約束を全て撤回し、天然ガスと石油とクリーンコール(精炭)の探査を許可するだろう」

電気自動車などグリーンエネルギー・イニシアティブへの補助や税制優遇措置も廃止されそうだ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

イスラエルがガザ空爆、48時間で120人殺害 パレ

ワールド

大統領への「殺し屋雇った」、フィリピン副大統領発言

ワールド

米農務長官にロリンズ氏、保守系シンクタンク所長

ワールド

COP29、年3000億ドルの途上国支援で合意 不
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 2
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 3
    「このまま全員死ぬんだ...」巨大な部品が外されたまま飛行機が離陸体勢に...窓から女性が撮影した映像にネット震撼
  • 4
    北朝鮮は、ロシアに派遣した兵士の「生還を望んでい…
  • 5
    「ダイエット成功」3つの戦略...「食事内容」ではな…
  • 6
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 7
    ロシア西部「弾薬庫」への攻撃で起きたのは、戦争が…
  • 8
    「何も見えない」...大雨の日に飛行機を着陸させる「…
  • 9
    クルスク州のロシア軍司令部をウクライナがミサイル…
  • 10
    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 3
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 4
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 5
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 6
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 7
    北朝鮮は、ロシアに派遣した兵士の「生還を望んでい…
  • 8
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱…
  • 9
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 10
    メーガン妃が「輝きを失った瞬間」が話題に...その時…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 4
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大き…
  • 5
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 6
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋…
  • 7
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 8
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 9
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 10
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中