最新記事

米政治

経済・移民・環境・宗教・医療・選挙権・3期目──トランプ「次期」大統領の野望が変えるアメリカ

IF HE WINS AGAIN

2022年11月16日(水)09時50分
デービッド・H・フリードマン(ジャーナリスト)

宗教

「公立の学校で(キリスト教の)祈りがささげられるようになる。最高裁も認めるだろう」とゲーレンは予想する。

「トランプにとっては、宗教なんてどうでもいい。重要なのは権力だ。支持基盤であるキリスト教福音派が(公立学校での祈りを)求めるなら、自分に対する支持の見返りとしてかなえるだろう」

避妊の禁止や、性的少数者の差別についても、トランプはキリスト教団体の求めに応じるだろう。州によっては同性婚禁止も十分あり得る。最高裁もそれを認める方向にある。

また、2期目のトランプ政権は、チャータースクールに対する支援を拡大するだろうと、ゲーレンは言う。その多くが宗教学校なのだ。

「特に新型コロナ以降、チャータースクールへの関心が高まっている」

医療

トランプは、再びオバマケアを葬り去ろうとするだろうと、ロリンズは語る。1期目は、明確な代替案を示さなかったため失敗に終わった。

「国民皆保険(メディケア・フォー・オール)や社会主義的な医療ではなく、コストに注目し、患者と医師が主導権を握る医療システム」を構築するという。

選挙権

トランプは、投票日に、投票所で、投票用紙に書き込む以外の投票方法を全て廃止して、投票をできるだけ不便にすることで、投票権を制限しようとするだろう。

表向きの理由は、2020年大統領選で発生した(とトランプは主張するが、裁判では認められなかった)大規模な「不正行為」を防ぐため。

だが本当の理由は、投票をしにくくすると、民主党候補の得票数が減ることが歴史的に分かっているからだ。つまり、投票権を制限すれば、トランプの息のかかった共和党候補が当選しやすくなるという考えだ。

2期目の先

大統領の座に返り咲いたトランプが何より恐れるのは、2期を大統領の任期の上限と定めた合衆国憲法だろう。

それでもトランプは、権力の座に居座ろうとするだろうか。

いくらゴリ押し人生を送ってきたトランプでも、大統領の任期制限を廃止するように憲法を改正することは、ほぼ不可能だろう。そのためには上下両院の3分の2以上の議員の賛成または、3分の2以上の州による憲法会議開催要請が必要だからだ。

つまりトランプが権力の座にとどまるためには、選挙で選ばれた次期大統領に権力を移行させるという民主的プロセスを何らかの形でつぶす必要がある。

それは大掛かりな反乱の形を取るかもしれない。例えば、トランプが軍の支持を取り付けて非常事態宣言を発令し、選挙を停止するか、選挙結果を破棄するのだ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、米軍制服組トップ解任 指導部の大規模刷

ワールド

アングル:性的少数者がおびえるドイツ議会選、極右台

ワールド

アングル:高評価なのに「仕事できない」と解雇、米D

ビジネス

米国株式市場=3指数大幅下落、さえない経済指標で売
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ウクライナが停戦する日
特集:ウクライナが停戦する日
2025年2月25日号(2/18発売)

ゼレンスキーとプーチンがトランプの圧力で妥協? 20万人以上が死んだ戦争が終わる条件は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 3
    メーガン妃が「アイデンティティ危機」に直面...「必死すぎる」「迷走中」
  • 4
    1888年の未解決事件、ついに終焉か? 「切り裂きジャ…
  • 5
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 6
    ソ連時代の「勝利の旗」掲げるロシア軍車両を次々爆…
  • 7
    深夜の防犯カメラ写真に「幽霊の姿が!」と話題に...…
  • 8
    私に「家」をくれたのは、この茶トラ猫でした
  • 9
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 10
    トランプが「マスクに主役を奪われて怒っている」...…
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 3
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 4
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 5
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 6
    朝1杯の「バターコーヒー」が老化を遅らせる...細胞…
  • 7
    7年後に迫る「小惑星の衝突を防げ」、中国が「地球防…
  • 8
    ビタミンB1で疲労回復!疲れに効く3つの野菜&腸活に…
  • 9
    「トランプ相互関税」の範囲が広すぎて滅茶苦茶...VA…
  • 10
    墜落して爆発、巨大な炎と黒煙が立ち上る衝撃シーン.…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 4
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」…
  • 5
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 6
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 7
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 8
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 9
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果…
  • 10
    「DeepSeekショック」の株価大暴落が回避された理由
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中