「この鳥は今や自由だ」と言うイーロン・マスクの「監視評議会」に願うこと
「絶対的な言論の自由」を掲げるマスクは、ツイッターの買収後、同社の青い鳥のロゴにちなんで、「この鳥は今や自由だ」とツイートした。
だが投稿内容についての規制を全て廃止することは、大きく異なる信念を持つ人々の間での「健全な」議論を促進する方法にはならない。マスクのツイッター買収完了後に人種差別的なツイートが急増したことからも、それは明らかだ。
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マスクの掲げる目標は立派だ。しかしそれを実現するためには、論拠と証拠に基づき人々の共感や理解を求める言説と、他人を非難して憎悪をあおろうとする言説を区別する必要がある。
おそらくマスクも、このことに気付いているのだろう。ツイッター買収後、彼は幅広い視点を持つ人々で構成する「コンテンツ監視評議会」を立ち上げるとツイートした。
女性の社会的地位をおとしめ、自分の信ずる宗教に対する冒瀆と見なされた文芸作品の著者に対する死刑宣告を擁護するような男にもツイッターの使用を認めるべきかどうか。この点こそ、新設される評議会には真っ先に検討してほしい。
ツイッターのようなプラットフォームを支配する人間は、極めて大きな権力と、それに伴う責任を手にすることになる。
マスク(と、彼の指名するコンテンツ監視評議会のメンバー)は、果たしてその重い責任を果たせるだろうか。
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ピーター・シンガー
PETER SINGER
プリンストン大学教授(生命倫理学)。著書『動物の解放』(1975年)で注目を集めた。NPO団体TheLife You Can Save(あなたが救える命)創設者。オーストラリア出身。