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ロシアが撒いた1500個の宇宙ゴミを受け、ISSが回避行動を迫られる

2022年11月21日(月)18時20分
青葉やまと

ロシア製スラスターで回避の皮肉

皮肉にも今回のマヌーバーで使われたのは、ロシア製のスラスターだったようだ。

アーズ・テクニカによると、ロシアのプログレス補給船がスラストを実施した。プログレスはISSの推進力として利用されており、通常時の軌道維持に使われるほか、今回のような緊急の回避操作にも利用される。

昨年11月にロシアが実施した衛星破壊実験(ASAT)は、その後も断続的にISSにマヌーバーを迫っている。米テックメディアのCNETによると、NASAのビル・ネルソン長官は、同ミサイル実験は「無責任」であると非難している。

今年初頭には、欧州宇宙機関(ESA)も影響を受けた。同機関の運用する地球観測衛星「センチネル-1A」が、コスモス1408の破片との衝突を寸前で回避している。

危険な実験の禁止論、アメリカや日本などが支持

デブリの最悪の発生源ともいわれる衛星破壊実験に関し、禁止論が持ち上がっている。

米軍備管理協会は11月、これまでに日本を含む7ヶ国がASAT禁止のイニシアチブへの参加を表明したと報じている。

アメリカは今年4月、ASATの非実施を宣言した。これを皮切りに、わずか数ヶ月のあいだに、カナダ、ニュージーランド、日本、ドイツ、イギリス、韓国が続いている。フランスやアイルランドなど、現時点で非実施を確約していないが、イニシアチブ自体を支持している国もある。

これまでにASATを実施した国は、アメリカ、中国、インド、ロシアとなっている。アメリカを除き、実施国は軒並みイニシアチブに不参加の状態だ。10月の国連総会でアメリカは、ASATの非実施をすべての国が確約するよう求める決議案を提出している。

ASATは多数のデブリを発生させ、軌道上で長期にわたり障害物となる。長期的観点からASATの実施は、強行した国自身の将来の宇宙開発にも悪影響を及ぼしかねない。

より安全な宇宙開発環境の実現に向け、イニシアチブへの各国のコミットが求められている。

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