最新記事

宇宙

ロシアが撒いた1500個の宇宙ゴミを受け、ISSが回避行動を迫られる

2022年11月21日(月)18時20分
青葉やまと

ロシアが2021年11月、宇宙開発の威力を誇示する目的で、寿命が尽きた衛星をミサイルによって破壊した破片が大量の宇宙ゴミに...... photo:NASA

<ロシアによる威力誇示の余波を受け、国際宇宙ステーションのクルーに危険が。この状態はすでに1年以上続いている>

国際宇宙ステーション(ISS)は米時間10月24日、デブリ(宇宙ゴミ)との衝突によるダメージを避けるため、マヌーバー(回避操作)を実施した。

NASAによると今回のマヌーバーでは、破片の予測軌道とステーションとのあいだに「距離的に十分な措置」を確保するため、5分5秒間にわたってスラスターを噴射した。仮にマヌーバーを行わない場合、ISSのおよそ5km圏内にまでデブリが近接する危険があったという。

マヌーバーは無事に完了している。NASAによるとISSに滞在中のクルーに危険はなく、ISSの運用にも支障は出ていない模様だ。

威力誇示の実験で発生した大量のデブリ

宇宙ゴミは高速で衝突し船体に穴を開けるおそれがあることから、宇宙ステーションや人工衛星にとって深刻な危機となっている。

宇宙開発の歴史上、すでに衛星軌道上には多くの人工物の破片が存在し、多くのデブリを作り出している。だが、その中でも今回の回避操作を余儀なくしたのは、人工的に生み出された本来不要な破片群だ。

ロシアは昨年11月、宇宙開発の威力を誇示する目的で、寿命が尽きた衛星をミサイルによって破壊した。衛星は「コスモス1408号」と呼ばれていた同国の軍事衛星だ。

地上から射出されたミサイルは、高度約480kmに浮かぶ全長約5m規模のコスモス1408号を直接貫き、1000片を超える数のデブリを発生させた。

ISSのクルー、退避準備を迫られる

米UPI通信は、米国務省のネッド・ブライス報道官による発表をもとに、この実験により推定1500個のデブリが発生したと報じている。

破壊当時、ISSには非常事態が宣言された。滞在していたアメリカとロシアの宇宙飛行士は、万一のデブリ衝突に備えた緊急行動を迫られている。脱出用シェルター内で6時間ほど待機したのち、その後安全が確認されたのを受けて通常のミッションに復帰した。

米技術サイトのアーズ・テクニカは、この試験は「ロシアが他の宇宙開発国に対し、対人工衛星での力を誇示する目的で実施した」と報じた。他国によるものも含め、宇宙開発に対する深刻な危害を招く結果となり、各国から非難が寄せられている。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

米戦闘機2機、イランが撃墜 乗員2人救助・1人不明

ビジネス

アングル:インドへの高級ブランド進出、実店舗スペー

ビジネス

米地裁、FRB議長の召喚状差し止めの判断維持 検察

ビジネス

米3月雇用者数17.8万人増、過去15カ月で最多 
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本企業に迫る サステナビリティ新基準
特集:日本企業に迫る サステナビリティ新基準
2026年4月 7日号(3/31発売)

国際基準の情報開示や多様な認証制度──本当の「持続可能性」が問われる時代へ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「考えの浅い親」が子どもに言ってしまっている口ぐせ・ワースト1
  • 2
    【銘柄】「三菱商事」の株価に高まる期待...ホルムズ海峡封鎖と資源価格高騰が業績を押し上げ
  • 3
    攻撃開始日も知っていた?──イラン戦争を巡る巨額取引、インサイダー疑惑が市場に波紋
  • 4
    イラン戦争の現実...アメリカとイスラエル、見え始め…
  • 5
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅…
  • 6
    なぜイスラエルは対イラン戦争を支持するのか...「イ…
  • 7
    血圧やコレステロール値より重要?死亡リスクを予測…
  • 8
    中国は「アカデミズムの支配」を狙っている? 学術誌…
  • 9
    60年前に根絶した「肉食バエ」が再びアメリカに迫る.…
  • 10
    満を持して行われたトランプの演説は「期待外れ」...…
  • 1
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅」企業が救う、ウクライナの未来
  • 2
    「水に流す」日本と「記憶する」韓国...気候と地理が育んだ「国民意識の違い」とは?
  • 3
    攻撃開始日も知っていた?──イラン戦争を巡る巨額取引、インサイダー疑惑が市場に波紋
  • 4
    記憶を定着させるのに年齢は関係ない...記憶の定着度…
  • 5
    なぜイスラエルは対イラン戦争を支持するのか...「イ…
  • 6
    ロシア経済を支える重要な港、ウクライナのものと思…
  • 7
    オランウータンに「15分間ロックオン」された女性のS…
  • 8
    映画『8番出口』はアメリカでどう受け止められた?..…
  • 9
    ヘンリー・メーガン夫妻の豪州訪問に3万6000人超の反…
  • 10
    中国がイラン戦争最大の被害者? 習近平の誤った経…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅」企業が救う、ウクライナの未来
  • 4
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...…
  • 5
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 6
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 7
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 8
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 9
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 10
    メーガン妃、娘リリベット王女との「お手伝い姿」公…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中