「新たな毛沢東」へ──中国共産党大会は習近平のシナリオどおりの「政治ショー」
党大会は約3000人の代表で構成される。彼らは模範的な活動への恩賞か指導部の縁故、あるいは名目的な少数派優遇策などによって選ばれる(国営メディアは女性や少数民族の代表が増えたと盛んに伝えたがる)。代表の最終リストは、習が仕切る小規模の委員会で承認される。
代表は意味のある投票はせず、事前に決定済みの事案を承認するだけ。党大会の主な仕事は、新たな中央委員のリスト(委員約200人と候補委員約170人)を承認することだ。
代表とは異なり、中央委員の大半は大都市の党指導層や政府の閣僚などが占めている。この200人が政治局委員25人を選び、政治局で7人の常務委員を選ぶ。
選挙重視の体裁を保つため、中央委員の候補となる人数は、実際の枠より約10〜15%多めにそろえられる(落選する候補者はあらかじめ決まっている)。常務委員の顔触れは、党大会閉幕翌日の中央委員会総会で発表される。
いわば、弱肉強食の権力体制の上で繰り広げられる政治ショー。だが、時には総会でサプライズも起こる。
鄧小平は78年の中央委員会第3回総会で、当時の党トップで毛沢東の後継者だった華国鋒の失脚を決定的にした。華は80年に首相を、翌81年に党主席を辞任。鄧が権力を掌握し、ここから改革開放が始まった。