最新記事

中国共産党

習近平「続投」だけじゃない 中国の未来が読み取れる「共産党大会」5つの注目点

Reading CCP’s Big Meeting

2022年10月12日(水)17時08分
シャノン・ティエジー(ディプロマット誌編集長)

221018p32_KST_02.jpg

建国73周年を祝って天安門広場に集まった人々(22年10月1日) WANG ZIHAOーVCG/GETTY IMAGES

2. 新たに常務委員に選ばれる顔触れは?

最高指導部のメンバーである政治局常務委員は今後5年間中国の舵取り役を務める。当然、その顔触れは中国ウオッチャーの最大の関心事の1つだ。これに関連したもう1つの大きな問いは委員の定数である。

18回と19回の党大会で選出された委員は7人。12年から22年まで7人体制だったが、16回と17回、つまり胡錦濤(フー・チンタオ)政権下の02年から12年までは9人体制だった。今回も7人で行くのか。9人に戻すのか。それとも別の定数にするのか。常務委員の定数については明確な決まりはない。

人数が何人であれ、最高指導部の顔触れは、所属する派閥や習との関係をつぶさに検証される。常務委員会が習一派で占められることになれば、党内の絶対的な支配力を見せつける。あるいは、習と対立する派閥からも何人か迎えざるを得なければ、党支配は万全ではないことを示唆する。

現在の常務委員のうち李克強(リー・コーチアン)首相と汪洋(ワン・ヤン)全国政治協商会議主席は「中国共産主義青年団(共青団)」出身だ。胡錦濤とつながりがある共青団は習と対立しているとされ、新たに最高指導部入りが有力視されている胡春華(フー・チュンホア)副首相もこの派閥の出だ。

一方で、栗戦書(リー・チャンシュー)全国人民代表大会(全人代)常務委員会委員長と趙楽際(チャオ・ローチー)党中央規律検査委書記は習の側近だ。さらに、新たな候補者に挙げられているなかにも、丁薛祥(ティン・シュエシアン)党中央弁公庁主任、陳敏爾(チェン・ミンアル)重慶市党委員会書記、李強(リー・チアン)上海市党委員会書記、蔡奇(ツァイ・チー)北京市党委員会書記など、習に重用されてきた人々がいる。

3. 年齢制限は撤廃されるか

習の「肩書」と密接に関連している問題として、政治局常務委員会には「七上八下」と呼ばれる年齢制限がある。党大会の時点で67歳以下なら「入る」、68歳以上なら「出る」という暗黙のルールだ。

これは誰が加わるかというだけでなく、誰が残るかという問題でもある。政治アナリストのダン・マックリンが指摘するように、「02年以降、68歳以上で政治局常務委員に再任された人はおらず、67歳以下で退任した人もいない」。

つまり、李克強と汪洋(共に67歳)を排除して、習の側近である王滬寧(ワン・フーニン、67)と栗戦書(72)を残すことは、年齢制限を事実上撤廃することになる。その場合「中国共産党は将来、政治局常務委員会の権力継承に関して、深刻な『憲法上の危機』に直面する」と、ウィーン大学で中国政治を教えるリン・リーは指摘する。客観的な年齢制限に達するまでの自動的な任期延長もなくなるだろう。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

トランプ氏、米軍制服組トップ解任 指導部の大規模刷

ワールド

アングル:性的少数者がおびえるドイツ議会選、極右台

ワールド

アングル:高評価なのに「仕事できない」と解雇、米D

ビジネス

米国株式市場=3指数大幅下落、さえない経済指標で売
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ウクライナが停戦する日
特集:ウクライナが停戦する日
2025年2月25日号(2/18発売)

ゼレンスキーとプーチンがトランプの圧力で妥協? 20万人以上が死んだ戦争が終わる条件は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 3
    メーガン妃が「アイデンティティ危機」に直面...「必死すぎる」「迷走中」
  • 4
    1888年の未解決事件、ついに終焉か? 「切り裂きジャ…
  • 5
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 6
    ソ連時代の「勝利の旗」掲げるロシア軍車両を次々爆…
  • 7
    深夜の防犯カメラ写真に「幽霊の姿が!」と話題に...…
  • 8
    私に「家」をくれたのは、この茶トラ猫でした
  • 9
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 10
    トランプが「マスクに主役を奪われて怒っている」...…
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 3
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 4
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 5
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 6
    朝1杯の「バターコーヒー」が老化を遅らせる...細胞…
  • 7
    7年後に迫る「小惑星の衝突を防げ」、中国が「地球防…
  • 8
    ビタミンB1で疲労回復!疲れに効く3つの野菜&腸活に…
  • 9
    「トランプ相互関税」の範囲が広すぎて滅茶苦茶...VA…
  • 10
    墜落して爆発、巨大な炎と黒煙が立ち上る衝撃シーン.…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 4
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」…
  • 5
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 6
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 7
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 8
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 9
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果…
  • 10
    「DeepSeekショック」の株価大暴落が回避された理由
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中