撃つのをやめたのは「もう殺す相手がいなかったから」
'Couldn't Find Anyone to Kill': Nikolas Cruz Says Why Mass Shooting Ended
審理の合間に弁護士と話すパークランドの銃乱射犯クルーズ(9月1日) Amy Beth Bennett/REUTERS
<フロリダ州パークランドの銃乱射事件の実行犯は死刑か終身刑か、陪審が見た動画が映していたものは>
2018年に米フロリダ州パークランドの高校で銃乱射事件を起こしたニコラス・クルーズ被告が、2022年10月3日に法廷で再生された動画のなかでおこなった発言が話題になっている。事件同日、その凶行が終わったのは、「殺すべき相手が見つからなくなったから」にすぎないという発言だ。
クルーズとの面談の様子を撮影したこの動画は、司法精神医学者のチャールズ・スコット博士が再生したものだとインディペンデントは報じている。動画再生の目的は、現在24歳のクルーズが、反社会性パーソナリティ障害と境界性パーソナリティ障害を持ち、行為障害と詐病の履歴があるとする診断結果を裏づけることだった。この診断は、現在おこなわれているクルーズの量刑審理において、鍵を握る可能性がある。この審理により、クルーズが死刑判決を受けるか、あるいは、仮釈放の可能性がない終身刑となるかが決まる。
クルーズは2018年2月14日、マージョリー・ストーンマン・ダグラス高校内で銃を乱射し、17人を殺害したほか、複数名を負傷させた。クルーズは2021年、殺人17件と殺人未遂17件について有罪を認めた。
銃乱射事件に関するクルーズの量刑を決める任務を課された陪審は、ブロワード郡裁判所で再生されたこの動画により、人の命を奪う攻撃に出る前やその最中のクルーズの心理と判断について、さらなる知見を得た。
メイヨー・クリニックによれば、反社会性パーソナリティ障害とは、「一貫して善悪に関心を示さず、他者の権利や感情を無視する精神障害」。一方、境界性パーソナリティ障害は、「自分自身と他者に関する考え方や感じ方に影響を与え、日常生活を送るうえでの問題を引き起こす」障害だという。
詐病とは、外部便益のために、身体または精神の疾患を捏造もしくは誇張することを指す。
「脳は実行機能を備えていた」
動画のなかで、クルーズはスコットに対し、「できるかぎり多くの人を殺したい」と思っていたことや、銃乱射に至る準備について話している。そのなかには、別の銃乱射事件について調べたことや、裏庭で射撃を練習したことも含まれている。さらに、一部の犠牲者をどのように銃殺したかについて、詳細を具体的に語っている。
インディペンデントによれば、スコットは法廷の場で、「クルーズが襲撃のさなかのことを記憶できているという事実は、彼がじゅうぶんな実行機能を備えていることを示唆している」と証言したという。スコットはさらに、クルーズには衝動的攻撃性と計画的攻撃性が見られると説明した。そのうち計画的攻撃性は、胎児性アルコール・スペクトラム障害(FASD)というよりは、反社会性パーソナリティ障害の特徴だ。