韓国「NOポケモンパン」始まるか? 工場での死亡事故巡り「血の付いたパン食べられるか」と不買運動
10月20日、SPCグループ本社前でSPL工場で亡くなった女性労働者の追悼行事が行われた KBS News / YouTube
<ポケモンパンはじめダンキン、バスキンロビンス、シェイクシャックなどを傘下にもつ企業に不買運動が広がっている>
「血のついたパンを食べられるか」「労働者の血がついたパンを買って食べないでください」──。今、韓国のSNSではこんなメッセージが拡散している。
事件は10月15日早朝に起きた。京畿道平沢市にあるパン工場で22歳の女性労働者が、高さ1mほどのサンドイッチ用ソースの原料を混ぜる装置で作業中、上半身を挟まれて死亡した。ところが、事故後に韓国雇用労働部(日本の厚生労働省に相当)が作業中止命令を下した一部装置を除き、残りの機械では作業が続けられたことが明らかになり、単なる労働災害事故ということを越え、会社の非常識な対応に対する怒りが爆発して不買運動が始まったのだ。中央日報など韓国メディアが報じた。
何年も事故が続いていた工場
事故が起きた製パン工場は、韓国の食品業界大手SPCグループ傘下のSPL製パン工場で、SPCグループのベーカリー向けのパン生地や食パン、サンドイッチ、コーヒーなどを製造するアジア最大規模のパン工場だという。事故で亡くなった女性は、この工場で働いて母親と弟を扶養しており、いつかSPC系の人気ベーカリーチェーン「パリバゲット」のフランチャイズ・オーナーになることを目標にして働いていたという。
事故直後に彼女を救い出したのは同僚の労働者たちだった。彼らは機械を満たしていた材料を捨てて女性を救助しようとしたという。事故当時は40人を超える労働者たちが勤務中だったが、遺体を直接収容した同僚の他にもショックを受けた者が多かった。それにも関わらず、その大半は翌日すぐ現場作業に投入されたという。警察の現場検証によると、この機械はカバーを開けば自動停止する安全装置がなかったことも明らかになっている。
実はこの工場ではわずか8日前にも一人の労働者が機械に手を挟めて、抜け出すまで20分もかかる事故があったばかりだった。しかも、この労働者が3カ月の短期派遣労働者ということで会社の担当者は病院に連れて行くことなどせず「自分で勝手に病院に行ってください。派遣会社には連絡しますから」と言ったという。
この工場ではさらにさかのぼると、2017年から今年9月まで労災事故で37人がケガをしており、そのうち挟まれた事故が15人(40.5%)と最も多かったことが分かっている。