中国共産党大会、アナリストも見過ごす注目点「政治活動報告」
DIVINING THE PARTY CONGRESS
前回党大会の政治活動報告では台湾問題などが語られたが(2017年) XINHUA/AFLO
<ゼロコロナ、中国経済、「戦略の窓」......。習近平政権の政策の行方に関する指標となる5つのポイントとは?>
(本誌2022年10月25日号〔10月18日発売〕「2032年の習近平」特集より)
中国共産党第20回全国代表大会(第20回党大会)が10月16日、北京で開幕する。5年に1度開催される党大会で注目されるのは、最後に明らかになる指導部の新体制だ。最高意思決定機関である政治局常務委員会のメンバーが選出され、序列順に登場するため、党内の権力構図を占う材料になっている。
ただし、注目点はほかにも数多い。その1つが「政治活動報告」だ。
党トップである総書記(現職は習近平〔シー・チンピン〕国家主席)が読み上げる政治活動報告は、前回党大会以降の5年間の成果を振り返ると同時に、今後5年間の優先項目や政策の土台になる。だが、その重要性はアナリストに見過ごされがちだ。
第20回党大会の政治活動報告で特に注意すべきポイントを、5つの問いで読み解くと──。
【1】ゼロコロナ政策はまだ続く?
党はいつまでゼロコロナ政策にこだわるのか。これこそ、中国国民の最大の関心事の1つだ。党大会が滞りなく閉幕(して大会前のピリピリムードが解消)したら、規制が解除されるのではないかと、多くの国民は期待している。とはいえ、そのとおりになる保証はない。
今回の政治活動報告には、ゼロコロナ政策の行方を示す大きな手掛かりが含まれる。政府の従来の取り組みや、他国と比べて少ない感染者・死者数が自賛と共に語られるのは当然のこと。だが新型コロナに「容赦なく」臨む戦いは継続中か、それとも勝利に終わったのか。
【参考記事】中国、入国者の隔離期間短縮を検討=ブルームバーグ
【2】中国経済へのアプローチは?
ゼロコロナ政策が今も経済の足を引っ張るなかで、中国は不動産部門の苦境や破綻寸前の金融機関など、折り重なる複数の経済危機に陥っている。中国の成長モデルは持続不可能だと、エコノミストはかなり前から警告してきた。今や、ツケを払う時が来たようだ。
2017年の前回党大会の政治活動報告で、習は「発展の質や効率の絶え間ない向上」や「経済構造の着実な改善」を強調。その一方で「不均衡で不十分な発展や拡大し続ける生活向上への欲求」が、中国の新たな「最大の矛盾」だとも認めた。
政治活動報告で中国経済の成功をアピールするのは定石だ。その筆頭が、結党100周年を迎えた昨年、目標としていた小康社会(やや豊かな社会)の実現を宣言したことだろう。この5年間の経済的成果として何を強調するかは、中国経済に対する党の見方を示す重要な指標だ。
政治活動報告は今後5年間の優先課題を把握する上でも役立つ。2017年の党大会で、習は「工業化、IT応用、都市化、農業の現代化」を掲げた。
これらに代わる新たな優先事項は何か。「共同富裕(みんなで豊かになろう)」という格差是正のスローガンは復活するのか。それとも、中国経済が逆風にさらされる現時点では破壊力が強すぎるとして、ひそかに葬られるのか。