惨敗予定だった民主党になぜ逆転の可能性が?──泡沫すぎる共和党候補たち
AGAINST ALL ODDS
というのも、激戦となる10議席のうち現在民主党が握る4議席は、ジョージア、ニューハンプシャー、ネバダ、アリゾナという、伝統的に国政選挙では共和党が強い州なのだ。
中間選挙では一般的に、大統領の政党(つまり今回は民主党)が議席を減らすことを併せて考えると、4議席のうち2つでも維持できればラッキーだというのが従来の見方だった。
ところが最新の世論調査では、この4州全てで民主党候補が優位に立っている。さらに、ペンシルベニア、ノースカロライナ、オハイオの各州では、引退する共和党議員の後任争いで、民主党候補がリードするか、共和党候補と肩を並べている。
また、伝統的に共和党が強いウィスコンシン州では、現職のロン・ジョンソン上院議員の支持率が著しく低く、中間選挙で敗北する恐れがある。
積もり積もって民主党にとって最高の結果になれば、上院の議席配分は民主党54、共和党46になる。そこまでいかなくても、多数派を維持できれば、バイデンの政権運営にとって大きなプラスになる。
下院は共和党が多数派を奪還するとみられているが、民主党は24年大統領選の際に、中絶や性的少数者の権利、銃規制、移民制度改革などで進捗がないのは下院共和党が妨害しているせいだと主張することも可能になる。
予想外の展開に焦る共和党
共和党は表向き強気の姿勢を維持している。「そんなシナリオは希望的観測にすぎない」と共和党全国上院委員会(NRSC)のクリス・ハートライン広報官は語る。
「われわれは共和党の候補に自信を持っており、投票日が近づくにつれ民主党を取り巻く環境は厳しくなるだろう」
だが、共和党が支持者に献金を求めるメールには、「われわれは負けている」とか「見通しは悪化している」といった悲壮感あふれる文章が並ぶ。
また、党本部はジョージア州の新人ハーシェル・ウォーカー(元アメリカンフットボールのスター選手)ら頼りない候補にアドバイザーを派遣するなど、テコ入れに必死だ。
もちろん投票日までの2カ月間に、まだ多くのことが変わる可能性がある。特にFBIによるマールアラーゴ捜索は今後の展開が注目される。
ただ、捜索の2日後に実施された世論調査を見る限り、一般有権者のトランプに対する見方は既に固まっていて、捜索が投票動向に与える影響は大きくなさそうだ。
この調査では、トランプが大統領在任中に違法行為に関与したと思うと答えた人が58%に上った(無党派では59%)。