「停滞した田舎のお荷物」──ジョンソンの暴言の置き土産「保守党問題」
Johnson’s Toxic Legacy
トラスは8月2日の党首選関連イベントで、スタージョンは「目立ちたがり屋」で「無視」するべきだと断じた。一方のスナクは20年に、イギリスの連合が解体すればイングランドの財政にはプラスになると発言したと報じられている(本人はそんな発言はしていないと言っている)。
どうやら、トラスとスナクのどちらが新首相になろうと、スコットランドにとって大きな違いはなさそうだ。どちらも連合王国という体制をイギリスの政治的安定の中核と見なしており、地方へのさらなる権限移譲はあり得ないと考えているのだから。
経済政策では、スナクは目先の目標をインフレ対策とし、トラスは減税と規制緩和を掲げている。党首選でも、スコットランドをはじめとする地方で脱工業化を進めた歴史的過ちに対する反省や対策が話題になることは、ほぼない。
ジョンソン時代の終焉は、保守党とスコットランドの関係をリセットするきっかけになったかもしれない。だが、スナクにもトラスにも、スコットランドのアンチ保守党感情を和らげる独創的なアイデアはないようだ。
ということは、スコットランドの「保守党問題」がなくなる気配もない。
2024年11月26日号(11月19日発売)は「超解説 トランプ2.0」特集。電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること。[PLUS]驚きの閣僚リスト/分野別米投資ガイド
※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら