ロシアの「住民投票」はパルチザンが潰す 一度拉致されたメリトポリ市長語る
Ukraine Partisans Can Block Russia's August 'Referendums': Front-Line Mayor
一度はロシア軍に拉致されたが特別作戦で奪還されたフェドロフ news.com.au/YouTube
<ロシアが占領地域の併合に向けて予定している住民投票を妨害すべく南部一帯のパルチザンが計画を立てている>
ウクライナへの侵攻を続けるロシアは、ロシア軍による占領を正当化するため8月中にも住民投票を実施しようとしている。3月にロシア軍に制圧された南部メリトポリのイバン・フェドロフ市長によれば、ウクライナ南部一帯のパルチザン(ゲリラ戦を展開する非正規部隊)が、ロシア政府による偽りの住民投票を邪魔する計画を立てているという。
3月にロシア軍に頭に袋をかぶされて拉致され、その後ウクライナ軍の特別作戦によって解放されたフェドロフは、地元のパルチザンや特殊部隊、諜報員が妨害行為を行い、ザポリッジャ(ザポリージャ)やヘルソン州でロシアが傀儡政権「人民共和国」を発足させるのを阻止する、と本誌に語った。
フェドロフは8月8日、南部の前線に近いザポリージャの街から電話取材に応じ、「ロシアは8月中に住民投票を実施したい考えだが、それは不可能だろう」と主張した。
「過去2週間、ロシアはメリトポリの住民を対象に、ロシアを支持する用意がある者がどれだけいるか調査を行ってきた」と彼は言う。「その結果、今もメリトポリに残っている市民のうち、ロシアを支持することに同意した者は全体の10%に満たなかった」
「ロシアはメリトポリでもそのほかの占領地域でも、住民の支持を得ていない。メリトポリにおいて、彼らの旗色はきわめて悪い」
「ロシア化」ローラー作戦
7月までは、ロシアは9月半ばに住民投票を実施する計画だという報道が多かった。だが米シンクタンクの戦争研究所は、ロシアが計画を前倒しして、8月中に住民投票を実施する可能性があると指摘している。
フロシアは占領地域での支配を強固なものにしようと苦慮し、地元住民を弾圧していると主張。3月以降、メリトポリでは約500人の住民がロシアに連れ去られたという。
「ロシアは今では、投票を1日で終わらせるのではなく、1週間かけて実施したいと考えている」と指摘。「投票所を設けるのではなく、係員が住民のアパートを訪れて『ロシア人になりたいか』と尋ねる方法を取ることを考えている」
この方法ならば、ロシア当局が嘘や脅しで投票結果を都合のいいように操り、占領地域の独立を宣言させて、ロシアに併合することができるだろうとフェドロフは述べた。
本誌はこの件についてロシア外務省にコメントを求めたが、本記事の発行時点までに返答はなかった。