最新記事

ウクライナ

ロシアの「住民投票」はパルチザンが潰す 一度拉致されたメリトポリ市長語る

Ukraine Partisans Can Block Russia's August 'Referendums': Front-Line Mayor

2022年8月9日(火)17時16分
デービッド・ブレナン

パルチザンはウクライナ軍の特殊部隊と諜報員の支援を得て、ロシア軍に占領された南部一帯でゲリラ戦を展開している。ヘルソンやメリトポリでは、占領からの解放を待つ住民たちがウクライナ軍の反撃を待ちわびる一方、ヘルソンではロシアへの複数の内通者が見つかり、殺害されている。

フェドロフは、ロシアによる住民投票の妨害計画について、「詳細は明かせないが、メリトポリでの住民投票が不可能になることを願っている」と語った。

「我々全員が自分の務めを果たさなければならない」と述べた。「いま私たちがすべきは、自分たちの領土での住民投票実施を阻止することだ。その間にウクライナ軍の兵士たちがメリトポリを解放することができれば最高だ」

7日夜には、ウクライナ側が長距離ミサイル──報道によればアメリカ製の高機動ロケット砲システム(HIMARS)──を使ってロシア軍の拠点2カ所を破壊し、地元パルチザンの活躍が目に見える形で示された。フェドロフはメッセージアプリ「テレグラム」で攻撃の成功を称え、この攻撃で100人超のロシア兵が死亡したと主張した。

「内通者は500人以上にのぼる」

「パルチザンの主な任務は第一に、ロシア軍の全ての兵器や設備を破壊することだ」とフェドロフは投稿の中で述べた。「2つ目の目標は、ロシア側への協力者と占領者、全員の士気をくじくこと。彼らが我々の領土で安全だと感じられないようにすることだ」

「3つ目の目標の成果は昨夜示されたが、ウクライナの軍と諜報員に、ロシアの軍事拠点などの場所に関する情報を提供することだ。我々が今日、特殊作戦を成功させて2つの軍事拠点を破壊することができたのは、そのおかげだ」

その一方で、フェドロフのチーム、保安当局者や検事たちは、ロシアによる占領を可能にしている内通者に関する情報収集を続けている。

「我々の手元には内通者のリストがある」とフェドロフは述べ、さらにこう続けた。「メリトポリの多くの市民が我々に、内通者に関する情報を提供してくれている。内通者は500人以上にのぼり、我々はその全員の名前を把握している」

20250408issue_cover150.png
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年4月8日号(4月1日発売)は「引きこもるアメリカ」特集。トランプ外交で見捨てられた欧州。プーチンの全面攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

訂正-米テキサス州のはしか感染20%増、さらに拡大

ワールド

米民主上院議員、トランプ氏に中国との通商関係など見

ワールド

対ウクライナ支援倍増へ、ロシア追加制裁も 欧州同盟

ワールド

ルペン氏に有罪判決、次期大統領選への出馬困難に 仏
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 2
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者が警鐘【最新研究】
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 5
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 6
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 7
    3500年前の粘土板の「くさび形文字」を解読...「意外…
  • 8
    メーガン妃のパスタ料理が賛否両論...「イタリアのお…
  • 9
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2…
  • 10
    なぜ「猛毒の魚」を大量に...アメリカ先住民がトゲの…
  • 1
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き詰った「時代遅れ企業」の行く末は?【アニメで解説】
  • 2
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 3
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 4
    【独占】テスラ株急落で大口投資家が本誌に激白「取…
  • 5
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥ…
  • 6
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 7
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 8
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 9
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 10
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジ…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中