訪台計画は夏休みに合わせた、単なるペロシの政治的パフォーマンス?
What is Pelosi Thinking?
しかも習は、かねてから台湾統一を「歴史的任務」と位置付け、民主主義体制を取る「台湾独立のたくらみを断固粉砕しなくてはいけない」と明言してきた。それなのに、この時期ペロシの台湾訪問を許せば、習の面目は丸つぶれとなりかねない。だからこそ今回ばかりは、中国が本当に強硬な反応を示す恐れがある。
いったいペロシは、今、台湾を訪問することで何を成し遂げたいと思っているのか。台湾の民主主義をサポートするにしても、アメリカの幅広い戦略(中国の脅威に対するアジアの同盟国との連携強化や、台湾の防衛能力強化など)との整合性を欠いているように見える。
足並みのそろわないメッセージが示すように、バイデン政権とコミュニケーション面での連携もみられない(それでも中国側は、ペロシの訪台を「米政府の陰謀」と見なすだろう)。むしろ今回の台湾訪問は、かつてペロシが北京でやったようなパフォーマンス的色彩が強いように見える。
だがその結果は、数人の記者が数時間拘束されただけの91年とは全く違うものになりかねない。事態がエスカレートすれば、最も痛手を被るのは台湾の人々と、ペロシを守る米兵になるだろう。