ドゥーギンの娘殺害で露反体制派NRAが「犯行声明」
What Is Russia's Anti-Putin 'National Republican Army'?
反戦、反プーチンを掲げるNRAの犯行声明を発表したロシアの元下院議員ポノマレフ(2017年、亡命先のウクライナで) Valentyn Ogirenko-REUTERS
<ウクライナに亡命したロシアの元下院議員を通じて「犯行声明」と「プーチン政権転覆」を宣言>
ロシアのウラジーミル・プーチン大統領の「頭脳」の娘で、政治評論家のダリア・ドゥーギン(30)が8月20日、モスクワ郊外で自動車の爆発により死亡した。ロシアの元下院議員で現在はウクライナで亡命生活を送るイリヤ・ポノマレフは、この事件について、ロシア国内の反プーチン勢力「国民共和国軍(NRA)」が企てたものだと指摘する。
ポノマレフは、自身の反体制テレビチャンネル「Utro Fevralya」に出演し、ダリア・ドゥーギンを殺害したのはNRAのメンバーであり、ダリアとその父親アレクサンドルの両方が標的だったと語った。アレクサンドル・ドゥーギンは超国家主義を掲げる思想家で、ロシアによるウクライナ侵攻などの外交政策に影響を及ぼしたと言われている。
国民共和国軍(NRA)とは?
ポノマレフは、今回の事件が起きるまでその存在さえ知られていなかったNRAから、自身のメッセージアプリ・テレグラムのチャンネルを通じて、NRAの「マニフェスト」を公表する許可を得たと語った。NRAは自分たちのことを、ロシアの活動家や軍人、政治家で構成する「戦闘員およびパルチザン」集団だと説明している。
ロシアは今回の自動車爆発事件について、ウクライナの仕業だと主張。一方のウクライナは関与を否定している。ポノマレフの主張について、本誌は裏付けを取ることができなかった。
2014年のクリミア併合について、当時ロシア下院で行われた採決で下院議員として唯一反対票を投じたポノマレフは、NRAからアプローチを受けたと語った。NRAは彼に、自分たちは「反プーチン」を掲げて戦っていると語ったという。
「NRAの戦闘員たちとは、ロシアの抵抗運動について伝えている私のテレグラムを通じて連絡を取り合っている」とポノマレフは語った。
NRAはその声明文の中で、ロシアによる隣国ウクライナへの軍事侵攻に反対を表明。プーチンは「憲法を修正し、同胞であるスラブ民族同士の戦争を引き起こし、ロシア兵を無意味な死へと追いやった権力の強奪者であり、戦争犯罪者だ」と非難した。ロシア政府や地方政府の当事者、さらに治安当局の関係者たちも「権力強奪の共犯者」だと非難した。