最新記事

トランプ

FBIの家宅捜索はトランプ2期目に有利になる?

FBI Search of Donald Trump's Mar-A-Lago Could Be 'Perfect' for 2024 run

2022年8月10日(水)16時19分
キャサリン・フォン

家宅捜査の翌日、ニューヨークのトランプタワーに帰宅したトランプ David 'Dee' Delgado-REUTERS

<機密文書持ち出しの容疑でトランプの邸宅を家宅捜索したFBIの行動は、トランプ支持層の結束をもたらし、トランプ次期大統への道を拓くかもしれない>

ここ数カ月、ドナルド・トランプ前大統領が、2024年の大統領選挙で立候補する可能性を示唆する報道が活発化している。FBIは8月8日にフロリダ州パームビーチにあるトランプの邸宅「マールアラーゴ」を家宅捜索したが、これはトランプに、大統領選出馬を発表する格好の舞台を提供することになるかもしれない。

トランプ邸から押収された資料から何が出てくるかを国民が注目するなか、専門家は、今回の家宅捜索はトランプにとってあながち悪いことばかりではないだろうと予測する。大統領選への出馬を発表する時期をうかがっている候補者にとって、FBIの捜索は助けになるかもしれないのだ。

ヒューストン大学のブランドン・ロティングハウス教授(政治学)は、「トランプの支持者はトランプに忠実で、不平不満ではちきれそうになっている。FBIの手入れは、支持者を政治的熱狂に導く最適なイベントだ」と本誌に語った。

トランプ邸の家宅捜索が行われた8日、トランプ邸の周辺は大騒ぎになり、彼の支持者と仲間はトランプの味方として結束し、連邦の法執行機関に対して怒りを表明した。

【動画】FBIの手入れを知ってマールアラーゴに集まったトランプ支持者たち

「トランプを支持し、連邦政府による『行き過ぎ』に反対する右派の反応の激しさと素早さは、たいしたものだ」イギリスのジャーナリスト、ジョン・ソペルはこうツイートした。「トランプにとって、ホワイトハウスを去って以来最高の日だ」

「不当な迫害」のイメージ

トランプは家宅捜索を確認し、これをウォーターゲート事件と比較した声明を出し、「検察の不正行為、司法制度の武器化、そして私が2024年の大統領選に立候補しないことを望む急進左派民主党による攻撃だ」と語った。

今回の家宅捜索とそれに対するトランプの対応は、2016年の選挙戦での成功を有権者に思い出させる形になった。当時の選挙運動でトランプは「勝ち目のない戦いに挑むファイター」というイメージを打ち出していた、とロティングハウスは言う。

FBIの捜索を政治のせいにすることで、トランプは過去6年間に築き上げた「障害を取り除いて問題を解決する」アウトサイダーというイメージを強化することができるだろう。

民主党の元大統領候補アンドリュー・ヤンは8月9日、トランプ前大統領と「腐敗した政府の体制」を対置することが、トランプのアピールの「基本的な」部分だとツイートした。

「今回の家宅捜索で、これをトランプに対する不当な迫害と見る何百万人ものアメリカ人の確信が強化される」と、ヤンは指摘した。

ロティングハウスは、今回の家宅捜索は、トランプを支持する人々を熱狂させる可能性が高いが、FBIに対するトランプの反撃が「より広い有権者層の動きに影響する可能性は低い」と述べた。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ルペン氏に有罪判決、次期大統領選への出馬困難に 仏

ワールド

訂正-米テキサス州のはしか感染20%増、さらに拡大

ワールド

米民主上院議員、トランプ氏に中国との通商関係など見

ワールド

対ウクライナ支援倍増へ、ロシア追加制裁も 欧州同盟
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 2
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者が警鐘【最新研究】
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 5
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 6
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 7
    3500年前の粘土板の「くさび形文字」を解読...「意外…
  • 8
    メーガン妃のパスタ料理が賛否両論...「イタリアのお…
  • 9
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2…
  • 10
    なぜ「猛毒の魚」を大量に...アメリカ先住民がトゲの…
  • 1
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き詰った「時代遅れ企業」の行く末は?【アニメで解説】
  • 2
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 3
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 4
    【独占】テスラ株急落で大口投資家が本誌に激白「取…
  • 5
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥ…
  • 6
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 7
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 8
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 9
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 10
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジ…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中