最新記事

日本政治

旧統一教会との関係認めた7閣僚など大幅入替 第2次岸田改造内閣が発足

2022年8月10日(水)19時45分

閣僚経験者では自民党の高市早苗政調会長を経済安全保障相に起用し、経済産業相に西村康稔氏、デジタル相に河野太郎氏を改めて入閣させた。交代する14人のうち、5人が再入閣となる。

第2次岸田改造内閣で初めて入閣するのは、総務相に就く寺田稔首相補佐官や文部科学相の永岡桂子氏、環境相の西村明宏氏ら9人。一方、林芳正外相や鈴木俊一財務相、山際大志郎経済再生相ら5人が留任となった。

寺田稔氏が務めてきた国家安全保障に関する重要政策や、核軍縮・不拡散問題担当の首相補佐官には岸信夫防衛相を充てた。

内閣改造に先立ち、自民党は麻生太郎副総裁、茂木敏充幹事長を留任とし、政調会長に萩生田経産相、総務会長に遠藤利明選対委員長、選対委員長に森山裕総務会長代行を充てる人事を正式に決めた。

就任会見で旧統一教会との関係を問われた萩生田氏は「今後は主催団体や会の在り方をしっかり見て、会の出席などについては慎重な対応をしっかりとっていきたい」と語った。政調会長としての最重要課題は「外交安保政策の強化」とし、自民党が公約に掲げる防衛力の増強を早急に実行に移す考えを示した。

国葬境に抱える火種

岸田首相が21年10月に発足させた最初の内閣では、総裁選で訴えた若手や女性の起用も含め「老・荘・青」のバランスを取った。今回の内閣改造では再入閣も含め、ベテランの起用に傾いた。

第2次岸田改造内閣では、公明と無派閥を除き安倍派4、岸田派3、麻生派4、茂木派3、二階派2の布陣とし、「派閥均衡型」で挙党一致体制の構築を狙う。

もっとも、思惑通りに政権求心力を維持できるかは見通せない。「旧統一教会が記者会見を内閣改造の日に合わせてきた。重ならないように調整するのが自民党幹事長の仕事のはずだができていない。旧統一教会の根は深く、やがて火を噴くかもしれない問題などを抱えて、挙党一致、党内融和は遠い」と、政治評論家の原野城治氏は言う。

原野氏は、萩生田経産相を政調会長に就けたことで「派閥の遠心力が働くだろう。国葬を境に、安倍派の分裂騒動、さらなる党内抗争を誘引しかねない火種を抱えた人事と言える」と指摘する。

(ポリシー取材チーム 編集:石田仁志)

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2022トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、米軍制服組トップ解任 指導部の大規模刷

ワールド

アングル:性的少数者がおびえるドイツ議会選、極右台

ワールド

アングル:高評価なのに「仕事できない」と解雇、米D

ビジネス

米国株式市場=3指数大幅下落、さえない経済指標で売
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ウクライナが停戦する日
特集:ウクライナが停戦する日
2025年2月25日号(2/18発売)

ゼレンスキーとプーチンがトランプの圧力で妥協? 20万人以上が死んだ戦争が終わる条件は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 3
    メーガン妃が「アイデンティティ危機」に直面...「必死すぎる」「迷走中」
  • 4
    1888年の未解決事件、ついに終焉か? 「切り裂きジャ…
  • 5
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 6
    ソ連時代の「勝利の旗」掲げるロシア軍車両を次々爆…
  • 7
    深夜の防犯カメラ写真に「幽霊の姿が!」と話題に...…
  • 8
    私に「家」をくれたのは、この茶トラ猫でした
  • 9
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 10
    トランプが「マスクに主役を奪われて怒っている」...…
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 3
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 4
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 5
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 6
    朝1杯の「バターコーヒー」が老化を遅らせる...細胞…
  • 7
    7年後に迫る「小惑星の衝突を防げ」、中国が「地球防…
  • 8
    ビタミンB1で疲労回復!疲れに効く3つの野菜&腸活に…
  • 9
    「トランプ相互関税」の範囲が広すぎて滅茶苦茶...VA…
  • 10
    墜落して爆発、巨大な炎と黒煙が立ち上る衝撃シーン.…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 4
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」…
  • 5
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 6
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 7
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 8
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 9
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果…
  • 10
    「DeepSeekショック」の株価大暴落が回避された理由
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中