中東での「中国包囲網」に? 米政府が推進する「中東版クアッド」I2U2の実力
ウクライナ侵攻によって重要性を増す分野
バイデン米大統領のサウジアラビア訪問、米政府による対イラン制裁強化など、アメリカとイランの緊張はますます高まっている。アメリカ政府としては、I2U2をイランに対抗する枠組みとして位置付けたいところだろう。
次に、継続性の面。オンラインとはいえ4人の首脳が顔を合わせたことは、この枠組みを継続しようという4カ国の意欲の表れと言えるだろう。4カ国は今後も協議を続け、協力できる領域を検討していくとのことだ。
最後に、実効性の面。I2U2は、安全保障以外の6つの分野で共同の投資を進めるという。エネルギー、食糧安全保障、健康、宇宙、輸送、水の6分野である。
食糧安全保障は、ロシアのウクライナ侵攻により世界的に食糧価格が高騰していることで、いっそう重要性を増している。アメリカ以外の3カ国はロシアへの批判を抑制的なものにとどめているが、食糧安全保障をI2U2の重要テーマに設定することにより、ウクライナ戦争が世界に及ぼしている影響に対処する意思を表明したと言えるだろう。
今後の取り組み次第では、I2U2が参加国のみならず、世界に大きく貢献する枠組みに発展する可能性はある。
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