最新記事

森林火災

森林火災に脅かされるヨセミテ国立公園の巨樹古木の森

Yosemite Wildfire Likely Caused By Humans, Authorities Say

2022年7月14日(木)16時31分
ジェシカ・トンプソン

近づく森林火災の煙に巻かれたジャイアント・セコイアの木(7月11日、ヨセミテ国立公園) Tracy Barbutes-REUTERS

<昨年は森林火災で多くが焼失した樹齢500年の貴重なジャイアント・セコイアに、今年も火の手が迫る>

米ヨセミテ国立公園で7月7日から続いている森林火災について、同公園の管理責任者であるシスリー・マルドゥーンは、人為的な原因によるものだとの見方を示した。

「ウォッシュバーン・ファイア」とも呼ばれるこの森林火災は、現在3500エーカー(約14平方キロメートル)の範囲に燃え広がり、7月12日時点で22%が消し止められた。公園の南に位置するワウォナ地域には避難命令が出されており、ハイウェイ41号線は閉鎖されている。


ヨセミテ国立公園の管理責任者であるマルドゥーンは、7月11日の地元住民向けミーティングの中で、火災の原因は人為的なものだと思うと述べた。

「ご存じのとおり、火災発生当日に落雷はなかった。人為的なものだ」

森林火災は通常、落雷や地上の枯れ葉などから発生した火花が原因で、自然に発生する。ウォッシュバーン・ファイアが発生したあたりには、材木や枯れた木、枯れ葉や低木のように、燃えやすい「地表の可燃物」がたくさんある。日照りや干ばつでこれらの可燃物がカラカラに乾燥し、森林火災を促進する条件は揃っていた。

有名な「マリポサグローブ」にも火の手が迫る

火災の発生を受けて、消防士たちは水や消火剤を使った消火活動と並行して、地表の可燃物をあらかじめ燃やして延焼を食い止めている。また火災は500本を超えるジャイアントセコイアの木からなる森林「マリポサグローブ」のすぐ近くで発生している。ジャイアントセコイアはその多くが樹齢数百年の貴重な巨木だ。

消防士たちは燃えやすい葉や木をあらかじめ燃やすなどして、マリポサグローブを守るために奮闘している。この巨木群の周囲では長年、森林火災が発生した場合への備えが進められてきた。

公園職員のギャレット・ディックマンはAP通信に対して、「我々は何十年も前から、森林火災への備えを行ってきた」と述べ、こう続けた。「だからマリポサグローブに到達するとすぐに、炎は勢いを失った」

セコイアの木々は、近くの炎が高さ20メートルにまで達したために、一部が黒焦げになる被害が出た。だがディックマンは、どの木もこの火災によって死んでしまうことはないだろうと考えている。「火の熱で少しやられたが、大丈夫そうだ」

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、米軍制服組トップ解任 指導部の大規模刷

ワールド

アングル:性的少数者がおびえるドイツ議会選、極右台

ワールド

アングル:高評価なのに「仕事できない」と解雇、米D

ビジネス

米国株式市場=3指数大幅下落、さえない経済指標で売
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ウクライナが停戦する日
特集:ウクライナが停戦する日
2025年2月25日号(2/18発売)

ゼレンスキーとプーチンがトランプの圧力で妥協? 20万人以上が死んだ戦争が終わる条件は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 3
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 4
    1888年の未解決事件、ついに終焉か? 「切り裂きジャ…
  • 5
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 6
    ソ連時代の「勝利の旗」掲げるロシア軍車両を次々爆…
  • 7
    私に「家」をくれたのは、この茶トラ猫でした
  • 8
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 9
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 10
    ビタミンB1で疲労回復!疲れに効く3つの野菜&腸活に…
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 3
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ...犠牲者急増で、増援部隊が到着予定と発言
  • 4
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン…
  • 5
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 6
    朝1杯の「バターコーヒー」が老化を遅らせる...細胞…
  • 7
    7年後に迫る「小惑星の衝突を防げ」、中国が「地球防…
  • 8
    墜落して爆発、巨大な炎と黒煙が立ち上る衝撃シーン.…
  • 9
    ビタミンB1で疲労回復!疲れに効く3つの野菜&腸活に…
  • 10
    「トランプ相互関税」の範囲が広すぎて滅茶苦茶...VA…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 4
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」…
  • 5
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 6
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 7
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 8
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 9
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のア…
  • 10
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中