森林火災に脅かされるヨセミテ国立公園の巨樹古木の森
Yosemite Wildfire Likely Caused By Humans, Authorities Say
近づく森林火災の煙に巻かれたジャイアント・セコイアの木(7月11日、ヨセミテ国立公園) Tracy Barbutes-REUTERS
<昨年は森林火災で多くが焼失した樹齢500年の貴重なジャイアント・セコイアに、今年も火の手が迫る>
米ヨセミテ国立公園で7月7日から続いている森林火災について、同公園の管理責任者であるシスリー・マルドゥーンは、人為的な原因によるものだとの見方を示した。
「ウォッシュバーン・ファイア」とも呼ばれるこの森林火災は、現在3500エーカー(約14平方キロメートル)の範囲に燃え広がり、7月12日時点で22%が消し止められた。公園の南に位置するワウォナ地域には避難命令が出されており、ハイウェイ41号線は閉鎖されている。
#WashburnFire Daily Update for July 12, 2022. Currently 3,221 acres, 22% contained with 649 firefighters assigned to the fire.@YosemiteNPS pic.twitter.com/HkZYObl6Z5
— Yosemite Fire and Aviation Management (@YosemiteFire) July 12, 2022
ヨセミテ国立公園の管理責任者であるマルドゥーンは、7月11日の地元住民向けミーティングの中で、火災の原因は人為的なものだと思うと述べた。
「ご存じのとおり、火災発生当日に落雷はなかった。人為的なものだ」
森林火災は通常、落雷や地上の枯れ葉などから発生した火花が原因で、自然に発生する。ウォッシュバーン・ファイアが発生したあたりには、材木や枯れた木、枯れ葉や低木のように、燃えやすい「地表の可燃物」がたくさんある。日照りや干ばつでこれらの可燃物がカラカラに乾燥し、森林火災を促進する条件は揃っていた。
有名な「マリポサグローブ」にも火の手が迫る
火災の発生を受けて、消防士たちは水や消火剤を使った消火活動と並行して、地表の可燃物をあらかじめ燃やして延焼を食い止めている。また火災は500本を超えるジャイアントセコイアの木からなる森林「マリポサグローブ」のすぐ近くで発生している。ジャイアントセコイアはその多くが樹齢数百年の貴重な巨木だ。
消防士たちは燃えやすい葉や木をあらかじめ燃やすなどして、マリポサグローブを守るために奮闘している。この巨木群の周囲では長年、森林火災が発生した場合への備えが進められてきた。
公園職員のギャレット・ディックマンはAP通信に対して、「我々は何十年も前から、森林火災への備えを行ってきた」と述べ、こう続けた。「だからマリポサグローブに到達するとすぐに、炎は勢いを失った」
セコイアの木々は、近くの炎が高さ20メートルにまで達したために、一部が黒焦げになる被害が出た。だがディックマンは、どの木もこの火災によって死んでしまうことはないだろうと考えている。「火の熱で少しやられたが、大丈夫そうだ」