最新記事

動物

チューリヒ動物園で姉弟の子ゾウが相次いで死ぬ

Zoo Elephant Dies of Herpes Just Days After Her Brother

2022年7月13日(水)17時41分
ジョセフ・ゴールダー

娘オミシャに何が起こったのか確かめ、理解する母インディ ZOO ZÜRICH, NICOLE SCHNYDER/YOU TUBE

<野生でも動物園でもほとんどのゾウが感染し、とくに若いゾウには致命的になる場合も多い「ゾウ内皮向性ヘルペスウイルス(EEHV)」とは>

スイスのチューリヒ動物園で、ゾウのきょうだいが致命的なヘルペスウイルスの感染症により、相次いで死亡した。

オミシャというお姉さんゾウ(8歳)は7月10日に亡くなった。つい数日前には、死んだ弟ウメシュ(2歳)の囲いに入って別れを告げたばかりだった。

ゾウは死んだ仲間を弔うことで知られているため、チューリッヒ動物園は、死んだウメシュの家族が別れを言うことができるように、しばらくの間、遺体と共に過ごす時間をもうけた。

オミシャだけでなく、姉のチャンドラ(20歳)と母親のインディ(36歳)も、ウメッシュの遺体に近づいて別れを告げた。

死因は2頭ともゾウ内皮向性ヘルペスウイルス(EEHV)の感染。大型哺乳類によくある疾患だが、特に若いゾウでは命にかかわる危険がある。

若いゾウほど危険

「残念ながら、オミシャは抗ウイルス剤と輸血による治療に反応しなかった」

「内出血や臓器不全を引き起こすこの恐ろしい病気は、動物園のゾウでも、野生のゾウでもよく見られる。今回の調査でEEHVに対する理解を深め、より効果的な治療方法の解明につなげたい。ワクチン開発もその一つだ」

2歳のウメシュの遺体も調査中だ。

「ウメシュの死を深く残念に思う」と、チューリヒ動物園は付け加えた。

セブリン・ドレッセン園長によれば、「EEHVはゾウの間で非常によく見られるウイルスで、動物園と野生とを問わずほぼすべての個体がある時点で接触し、感染してしまう。特に若いゾウは、突然発症する危険が常にある」

若いゾウを守るために、研究が急務だ。

*この記事は独ゼンガーニュースの提供です

【動画】元気いっぱいだったころの子ゾウと、死んだ子に別れを告げる家族の様子>を見る

20250121issue_cover150.png
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年1月21日号(1月15日発売)は「トランプ新政権ガイド」特集。1月20日の就任式を目前に「爆弾」を連続投下。トランプ新政権の外交・内政と日本経済への影響を読む


※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

アングル:フィリピンの「ごみゼロ」宣言、達成は非正

ワールド

イスラエル政府、ガザ停戦合意を正式承認 19日発効

ビジネス

米国株式市場=反発、トランプ氏就任控え 半導体株が

ワールド

ロシア・イラン大統領、戦略条約締結 20年協定で防
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプ新政権ガイド
特集:トランプ新政権ガイド
2025年1月21日号(1/15発売)

1月20日の就任式を目前に「爆弾」を連続投下。トランプ新政権の外交・内政と日本経済への影響は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼いでいるプロゲーマーが語る「eスポーツのリアル」
  • 2
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べている」のは、どの地域に住む人?
  • 3
    「搭乗券を見せてください」飛行機に侵入した「まさかの密航者」をCAが撮影...追い出すまでの攻防にSNS爆笑
  • 4
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲う…
  • 5
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 6
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者…
  • 7
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 8
    「ウクライナに残りたい...」捕虜となった北朝鮮兵が…
  • 9
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 10
    雪の中、服を脱ぎ捨て、丸見えに...ブラジルの歌姫、…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 3
    睡眠時間60分の差で、脳の老化速度は2倍! カギは「最初の90分」...快眠の「7つのコツ」とは?
  • 4
    メーガン妃のNetflix新番組「ウィズ・ラブ、メーガン…
  • 5
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲う…
  • 6
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 7
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼い…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 10
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 3
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 4
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊…
  • 5
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が…
  • 6
    ロシア軍は戦死した北朝鮮兵の「顔を焼いている」──…
  • 7
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 8
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中